
飼い主のもとを旅立ったペットたちが渡るという虹の橋。『ひまちゃんと天国の面接』(しらほし卯乃/KADOKAWA)は、その橋のたもとで飼い主を待っている動物たちの暮らしを描いた作品だ。SNSでの大反響を受けて連載をスタートした本作は、主人公であるハムスターのひまちゃんが虹の橋のたもとにたどり着き、面接を受けるところから物語がはじまる。
動物たちのかわいらしさがあふれる本作を「カーテンコールのような物語」だと語る、著者のしらほし卯乃さんにお話を伺った。自身も小さい頃にウサギを飼い、現在はハムスターと暮らしているという動物好きなしらほしさんに、動物たちの死後を描くからこその悩みや本作に込めた想いについて深掘りする。
続きを読む
――本作では主人公のハムスター・ひまちゃんら動物たちは虹の橋のたもと=天国への入り口で暮らしています。虹の橋のたもとはどのようにイメージしたのでしょうか?
しらほし卯乃さん(以下、しらほし):自分と暮らしたペットは、どこかで自分が亡くなるまで待っていてほしい。もし待っていてくれるのであれば、そこは楽園であってほしい。という願いを込めて、どんな動物でも幸せに暮らせる場所として虹の橋のたもとをイメージしました。
――ひまちゃんたちが天国に行った時、まず面接官との面接がありますよね。死後の面接といえば地獄の閻魔大王のイメージだったので、天国でも面接があるという設定は意外でした。
続きを読む
しらほし:天国での面接という設定が生まれたのは、「もし天国に行ったら、今まで生きていた期間について聞かれるかもしれないな」と思ったのがきっかけでした。「あなたの名前は?」とか「飼い主と過ごしてどうでしたか?」とか、そういう質問があるのではないかなと。
あと、どこかで「自分が死んだ時に今までやってきたことがゲームのリザルトみたいに出たら面白い」という話を聞いたことがあるんです。例えば、今まで食べたお米の粒の数とか、何本のシャーペンの芯を使ってきたとか。それを見て、自分が知り得なかった人生の積み重ねを見返すことができたら面白いだろうなと感じたことを思い出しました。そこで、「動物たちも、虹の橋にたどり着いた時に、自分の一生を誰かと振り返って話していたら面白いな」と考えました。
続きを読む
語呂の良さから“面接”と書いたので、読者の方から「合否があるんですか?」と聞かれることもありますが、天国の面接に合否はないです(笑)。
――動物たちが主役の本作において、人間に近い見た目をした面接官のキャラクターを登場させた理由を教えてください。
しらほし:面接官は「ストーリーの進行役として、人間のような存在がひとりいた方がいいな」と思ったところから考えはじめたキャラクターです。最初は吹き出しのみで喋らせていたため、顔を出すかどうかは決まっていませんでした。
続きを読む
試しに外見も描いてみたところ、想像以上に読者さんからの反響があり、外見もつけることにしました。面接官は好きなモチーフを込めつつ、描きやすいデザインにしています。いわゆる天使のような存在ですね。実は単行本では名前が出てきているんです。本を読んでくださった方がネット上でもその名前で呼んでくれていて、見かける度にうれしく思っています。
文・取材=原智香
記事一覧に戻る