友達のつくりかた/【吉澤嘉代子 エッセー連載】ルシファーの手紙#10
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友達って何だろう。対等な関係、損得のない関係、心を許しあう関係。私には気の置けない仲間という言葉がいつもしっくりこない。どんなに親しくなった仲にも微かな緊張はただよう。一緒にいて退屈をしていないだろうか。さきほどの言葉は適切だったのだろうか。今日の私、大丈夫だったかな……。別れた後に薄ら寒い反省が脳裏を掠めるのだ。
大切な友達を失ってしまったことがある。毎朝目覚めて、ふと彼女がいない世界で生きていることを思い出すときの絶望。どれだけ愛しても憎んでももういない。一生会えない。その空白は明るい場所へ行くたびに反動となって暴れ出す。
「よく忘れられてることだがね。〈仲よくなる〉っていうことさ」 「仲よくなる?」 「うん、そうだとも。おれの目から見ると、あんたは、まだ、いまじゃ、ほかの十万もの男の子と、べつに変わりない男の子なのさ。だから、おれは、あんたがいなくたっていいんだ。あんたもやっぱり、おれがいなくたっていいんだ。あんたの目から見ると、おれは、十万ものキツネとおんなじなんだ。だけど、あんたが、おれを飼いならすと、おれたちは、もう、おたがいに、はなれちゃいられなくなるよ。あんたは、おれにとって、この世でたったひとりのひとになるし、おれは、あんたにとって、かけがえのないものになるんだよ……」と、キツネがいいました。 『星の王子さま』(サン・テグジュペリ:著、内藤濯:訳/岩波書店)
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