※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年11月号からの転載です。
最後となった本連載の舞台は「沖縄県」。琉球王国としての古い歴史を持ち、ソーキそばやテビチ、泡盛といった独特の食文化や、三線(さんしん)、エイサー、組踊などの伝統芸能が数多く残されている土地だ。そんな沖縄県を愛し、土地に根ざす人々はどんな本を読んでいるのか。本棚に並ぶ作品を紹介してもらおう。
構成・文:イガラシダイ イラスト:千野エー
沖縄美ら海水族館 冨田武照さん


ヒトの体のなかには“内なる魚”が潜んでいる。古代魚ティクターリクの化石を発見した著者が、生命進化の謎を探求する。「著者は著名な古⽣物学者にして、⼤学では医学⽣を相⼿に解剖学を教えています。そんな彼が語る、壮⼤な進化の物語に圧倒されます」
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世界を仰天させてきたロボット工学者・⽯⿊浩。この類まれなる鬼才が、“人間の本質”に迫る。「動物飼育の現場において、動物の権利について無関⼼ではいられません。この本は、その哲学的な問いについても考えるきっかけを与えてくれます」

形や寿命など、生き物を調べると、なぜか決まって3/4という数字が現れる。このマジックナンバーの正体とは?「⽣き物の形や⽣態は実に多様です。しかし、その背後に統⼀的なルールがあったら? 本書にはそんな研究者の夢が詰まっています」
[国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館]
〒905-0206 国頭郡本部町字石川424 HP:https://churaumi.okinawa ☎ 0980-48-3748
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国営沖縄記念公園(海洋博公園)内に位置する日本最大級の水族館。全長8.8mのジンベエザメやナンヨウマンタをはじめ、多種多様な魚たちが泳ぐ姿を見ることのできる大水槽や、沖縄ならではのサンゴの大規模飼育展示など、見所がたくさん。
ジャングリア沖縄の皆さん


ある日、学校から帰ってくると、ひとつのりんごが置いてあった。でも、それって本当にりんごなの? 想像力が爆発する、魅惑のりんご絵本。「“もしも?”から始まる思考は、パークにも不可欠な想像力の源。お子様はもちろん大人も楽しめる感動絵本です!」

沖縄の通信会社に勤務する伊波まじむは、新規事業として斬新なアイデアを思いつく。実話を基にした、胸が熱くなるサクセスストーリー。「真心と情熱で周囲の心を動かし、夢を叶える姿に胸が熱くなります。新しい感動を創る私たちの原動力です!」
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リンゴ栽培には農薬が不可欠である。その定説は真実なのか? 農家の木村はその常識を疑い、農薬に代わる“なにか”を探し求めるが――。「新しい感動体験を生み出す我々の原動力であり、勇気をもらえる本。常識を覆し情熱を注ぐ姿に胸が熱くなります!」
[ジャングリア沖縄]
〒905-0494 国頭郡今帰仁村字呉我山553-1 HP:https://junglia.jp
やんばるの大自然を舞台にした大型没入型テーマパーク。「Power Vacance!!(パワーバカンス)」をコンセプトに、広大な敷地の中でテクノロジーと自然を融合させた22のアトラクションやショー、世界最大級のスパ施設などを展開し、都会では決して味わえない、興奮と贅沢な体験ができる。
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琉球ガラス村の皆さん


沖縄に魅せられた芸術家・岡本太郎が、二度の沖縄滞在によって再発見した“日本の姿”を記録する。彼の目線を通して知る、沖縄の意外な姿がそこに。「沖縄を知っているつもりだった自分を、心地よく打ちのめしてくれる。島の見え方が変わる一冊」

破船漂流していたところをアメリカ船に救助された彦蔵。しかし、鎖国政策により帰国が阻まれる。やむなく彦蔵は渡米することになるが……。「海とともに生きる糸満(ジョン万次郎との縁も)から、海の向こうへ目を向けるきっかけとなる一冊」

空気も水も鉛筆も、そして人間だって、すべては元素からできている! そんな不思議な元素について名探偵オームズが次々と暴いていく、話題の元素絵本。「琉球ガラスの鮮やかな色彩にも元素の力が。ものづくりの原点を楽しめる一冊です」
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[琉球ガラス村(RGC株式会社)]
〒901-0345 糸満市字福地169 HP:https://www.ryukyu-glass.co.jp ☎ 098-997-4784
日本最大の琉球ガラス工房を併設した、体験型の「ガラスのテーマパーク」。匠の技術が詰まった作品を鑑賞、購入できるほか、琉球ガラスで作られたアート作品との写真撮影や、実際に琉球ガラスを用いた作品作りも体験できる。
TABINEKO BOOKS 店主 堀家盛司さん


琉球王国時代から作られてきた泡盛の背景を掘り下げ、沖縄の輪郭を浮き彫りに。泡盛にまつわる知識を網羅した、“泡盛学”の決定版。「泡盛を追いかけて⾒えてくる、琉球・沖縄の歴史と⽂化。昔の泡盛広告や泡盛料理まで、学べて美味しく楽しい⼀冊」
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旅行ガイド『地球の歩き方』と『月刊ムー』がコラボ! イースター島やピラミッドなど、世界のミステリースポットを巡る。「読んでヨシ、出かけてヨシ! この世界には謎がいっぱい。この本を⽚⼿に、あなたはどんな『異世界』を歩きますか?」

タビネコブックスで店長を務める猫・にゃぶろうのファースト写真集。その日々の姿に、ドキュメンタリータッチに迫る。「タビネコブックスで⼀番多いお問い合わせは『店⻑いますか?』。謎に包まれた、ねこ店⻑にゃぶろうの⼀⽇が明らかに」
[TABINEKO BOOKS]
〒904-0004 沖縄市中央2-6-44
Instagram:tabineko.books ☎ 098-923-3747
ねこ書店員が働く書店で、本を選びながら珈琲やビールも楽しめる。実店舗のほか、BASEでも書籍を購⼊できる。現在、⾃主出版企画第2弾として絵本を準備しており、ラジオパーソナリティでもある店主が出演するコーナーをもとにした書籍企画も進めている。
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ブンコノブンコ 店長 饒波夏海さん


社会学者の著者が、日々の聞き取り調査のなかで出会った多様な“語り”。世界をそのまま受け止めることのきらめきを綴る。「世の中にたくさんの人が溢れているけど、みんな私と同じく、平凡な日常があるものなのだと、気持ちを少し楽にさせてくれる本です」

通いやすい銀行にお金を預け、手に入りやすいものばかり買う。そんな暮らしの先にある“くそつまらない未来”をどう変えていくのか。現役バンドマンが等身大で語る経済論。「自分なりのカッコイイを貫くために、投資しようぜ! と思えます」

地球上で最も傷つきやすいといわれる、アラスカの大自然。その象徴としてカリブーたちの撮影に挑んだ写真家・星野道夫が遺した作品をまとめた、幻の写真集。「圧倒的な大自然の写真に心が震えて、写真集で初めて涙が出ました」
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[ブンコノブンコ]
〒902-0065 那覇市壺屋1-6-21F Instagram:bunkonobunko_dspec
那覇市壼屋にある「沖縄不動産文庫」が運営する書店・カフェ。2019年に那覇市松尾にオープンし、21年に現在の場所に移転した。新書・古書・ZINE・リトルプレスなどの少部数発行本を多く取り扱っている。カフェスペースでは展示会やワークショップなどを不定期で行っている。
あの町と本にまつわるアレコレ
サンゴ礁が美しい海、首里城や国際通りなどの観光名所、医食同源を体現する食文化など、沖縄には独自の魅力がある。同時に、沖縄には数々の“痛み”もある。光と影が共存する土地、それが沖縄だ。
そんな土地からヒントを得て、作家たちは優れた小説を生み出してきた。近著では、澤村伊智の『ざんどぅまの影』が挙げられる。本作で描かれるのは、神奈川県Q区に移住した沖縄の人々の姿。作中、彼らが遭遇する危機は現代社会にある差別を写し取ったものといえるだろう。直木賞を受賞した真藤順丈『宝島』は、米軍施政下から本土復帰に至るまでの沖縄を描く。時代の流れに翻弄されながらも、逞しく生きようとする主人公たちの姿には、胸を打たれる。
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他にも、のんびりした空気感の中で育まれる恋愛がテーマの『カフーを待ちわびて』(原田マハ)や、家族の絆を真正面から捉えた『アンマーとぼくら』(有川ひろ)といった、心温まる作品も光る。
いずれにしても、作品に通底するのは、沖縄ならではの文化や考え方、あるいは傷跡である。作家たちがそれを作品に取り入れたのは何故か。私たち読者は、豊かな読書体験を通じて、その真摯なメッセージを受け止めなければならない。
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