
森の中、朝、目覚めたクマが出会ったのは、漂う白い空気。その白い空気が、森の木々、木の実、鳥、動物たちそれぞれに訪れて、最後は明るいお日さまを連れてくるさまを描いた絵本。白い空気は、霧のこと。実際に霧が立ち込めたあとは晴れの一日がやってくることが多く、それを待ち望む動物たちの姿が静かに描かれます。
森中が霧に包まれたとある朝を描いた『しろいくうき』の著者で、ご夫婦の高橋潤子さん、北谷しげひささんにお話を伺いました。
続きを読む

――霧を題材にした幻想的な絵本です。お住まいの丹波篠山は、霧が多い地域と伺いました。
高橋潤子さん(以下、高橋):はい。丹波篠山は兵庫県の中部にある小さな盆地の町です。兵庫県の太平洋側の神戸から北上していくと、山地のてっぺんに篠山盆地があります。そして、その篠山盆地からさらに北へどんどん下っていくと、日本海に到達します。つまり、篠山盆地はお山のてっぺんにある小さな盆地なのです。そのお盆のへりにあたる周りの山は低くのどかで、雲のない日の夜には空から冷たい空気が降りてきます。そして気候条件が合えば、その小さなお盆のような町に真夜中から早朝にかけて霧が発生し、早起きした子どもたち、もちろん大人たちをもワクワクさせるのです。

続きを読む
――おふたりにとって、霧はどんな存在ですか?
高橋:朝、霧が出ていていちばんうれしいのは、もちろん景色の美しさです。そして、その日は必ず晴れるといううれしさで、朝から元気が出てきます。気持ちがとても明るくなります。学生時代、朝、学校に行くバスを待っていたら、真っ白い空気の中から突然バスが現れてびっくりしました。自転車で学校に通うともだちは、学校に着く頃には、前髪や、まつ毛に小さな水の粒がびっしりついていたと言います。
何十年ぶりかに帰ってきた丹波篠山は、ほとんどなにも変わっていないように思えますが、四季の山の移ろいや、そこに住む動物たちの様子は、私の小さかった頃からは激変しています。でも、霧は昔のまま。自然や動物、そして植物にとても優しいのです。そして、霧の絵本を作っていることを丹波篠山の友人たちに言うと、「霧のおかげでおいしい黒豆ができるのよね」と、みんな口をそろえて言います。
本記事は「絵本ナビ」から転載しております
記事一覧に戻る