
子どもの世話より、自分を優先してほしい。そんな夫からの要望に、妻の心はどんどんすり減っていく。『うずら男 モラハラかまって夫が人間をやめるまで』(前川さなえ/KADOKAWA LifeDesign)は、ふたりの男の子を育てる専業主婦・あすかと、妻への執着が止まらない夫・和史の歪な夫婦関係を描いた衝撃作だ。
ある日、あすかは和史から、8個のうずらの卵を育てるように命じられる。やがて孵化したうずらたちは、かわいいような、不気味なような…。この小さな生き物が、夫婦の歯車をさらに大きく狂わせていくストーリーは、多くの読者の心を揺さぶった。
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本作の著者・前川さなえさんに、幼少期の家庭環境に傷を抱え、大人になっても生きづらさを感じる「アダルトチルドレン」や「モラハラ」をテーマに描いた本作の制作背景や、夫婦関係、自分らしく生きるためのヒントについてお話を伺った。
――モラハラやアダルトチルドレンをテーマにした本作は、これまでの前川さんの作品とは大きく毛色が違うと思います。本作を手がけたきっかけは何だったのでしょうか。
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前川さなえさん(以下、前川):本作のスタートは、編集さんからお声がけいただいたのがきっかけです。企画段階でいただいたメールに「うずら」「モラハラ」というテーマ、そして結末までがざっくり書いてあったんです。あまりに衝撃的で、1度目を通しただけでは理解できず、3回ほど読み直しました(笑)。
自分じゃ絶対に浮かばないアイデアだし、「これは面白そうだな」と。それまでは育児エッセイやほのぼの系の執筆が多かったんですけど、編集さんから「前川さんは作品の幅がすごいから、違うジャンルでもお願いしたかった」とも言っていただいて、やってみようと思いました。
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――『うずら男 モラハラかまって夫が人間をやめるまで』というタイトルもとてもインパクトがありますね。どのように決まったのでしょう?
前川:これも、編集さんと相談したんですけど……とても悩みましたね。「うずら男」は、既存の言葉じゃないですから(笑)。本作が他のモラハラを扱った漫画と違うのは、夫の和史は妻を苦しめたいわけではなくて、ただ「かまってほしいだけ」という部分。だからタイトルで「モラハラ」「かまって」という表現を掛け合わせてみました。
取材・文=松本温美
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