※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年11月号からの転載です。

『ヒメアノ~ル』や『BLUE/ブルー』など、人気原作の映画化のみならずオリジナル脚本も自らこなし、人間の光と闇を表現し続ける𠮷田監督。役者をさらなる高みへと引き上げる演出手腕にも定評があり、『ミッシング』では石原さとみを一皮も二皮もむかせた異才が、最新作で磯村勇斗、末澤誠也、綾野剛と初タッグ。それぞれの新たな顔を刻みつけた。
無邪気な花火遊びでアパートを全焼させた、小学生の龍之介と拓海。あれから15年が経ち、罪の意識に蓋をするなか、龍之介はアーチェリー競技と出合い夢を追いかけていた。一方、引きこもりがちな拓海の時間は、花火の日から止まったままだった。その拓海が、火事で大火傷を負ったうえ妻子を失った埜本と偶然、再会する。土下座して詫びる拓海を、埜本は笑顔で歓迎。戸惑いながらも拓海は埜本を〈メンター〉として慕い、急速に距離を縮めてゆく……。
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憎んでも憎みきれないはずの相手に埜本はなぜやさしく接し、世話を焼くのか。その親切心の裏には、何があるのか? 底知れなさを秘めた怪優・綾野の存在によって、“埜本はいつ牙をむくのか"なるスリルと緊張が生まれるのは、まさに配役の妙だろう。龍之介役の磯村の抑えた表現や、その反動からくる嗚咽シーンにも唸りっぱなしだ。𠮷田マジックゆえか、実力者ふたりを向こうに回し、依存体質で極端な拓海を演じきった末澤もうれしいサプライズ。狂気を湛えたその眼差しに釘づけとなる。
加害者と被害者の歪な三角関係は一体、どこへ向かうのか。捻りを利かせた展開、希望と同時に毒や風刺が覗くラストまで、𠮷田節に痺れる。
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文:柴田メグミ
『mentor』
監督:𠮷田恵輔
出演:磯村勇斗、末澤誠也、綾野 剛
2026年日本 114分
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ、スターサンズ
全国公開中
●15年前の花火遊びでアパートを全焼させたかつての少年ふたりと、彼らにすべてを奪われながらその人生に寄り添う男。美談と呼ぶには危うい再会と交流が、再び3人の運命を狂わせてゆく……。
© 2026「mentor」製作委員会
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