
2024年、連続ドラマ『東京タワー』で永瀬廉演じる主人公の友人・大原耕二を熱演し、注目を集めた松田元太さん。21歳差の禁断の恋に体当たりで挑んだ演技、その色香は話題をさらい、今、若手実力派俳優のひとりとして熱い視線を浴びている。そんな松田さんが主演する、テレビ朝日連続ドラマが話題!
『東京タワー』と同じ、江國香織作品を原作とした『はだかんぼうたち』で演じるのは、惹かれるまま女性と無邪気に夜を重ねる靴職人・鯖崎涼。奔放な遊び人でありながら、どこか憎めないピュアさを持ち、心の底には誰にも埋められない孤独を抱えた主人公、そして作品への思いを伺った。
――原作は『東京タワー』に続き、江國香織さんの人気長編小説。江國ワールドのなかで生きる人を今作では主人公として体現されますね。
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松田元太さん(以下、松田):白黒つけない、良い意味でグレーであり続けるという、江國香織さんが生み出す小説の世界観は本当に美しいなと思います。日常にありそうなリアリティを持ちながらも、ハラハラ、ドキドキしていて、それを読者に美しいと感じさせてくれる。前作『東京タワー』でも演じるなかでそれを強く感じて。『はだかんぼうたち』ではさらに凄まじく美しいものが感じ取れそうだなと思っています。
――今作では脚本、監督、音楽など、社会現象を巻き起こした『東京タワー』の制作チームも再集結しました。
松田:『東京タワー』の時も、監督をはじめ、制作チームの方々とは、たくさんコミュニケーションを取らせていただきながら、作品に向き合うことができたんです。再び同じチームで、という良い環境を整えてくださったことを本当に感謝しています。インティマシーコーディネーターさんも前作と同じ方がサポートしてくださっているので、安心しながら丁寧に向き合っていくことができます。
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――10歳年上の歯科医・桃(加藤ローサ)に都合の良い“恋人もどきの関係”を求める一方、桃の親友で3児の母・響子(大沢あかね)にも興味を持つ鯖崎。危険で赤裸々な大人の三角関係が描かれていくストーリーですが、台本を読んだ時はどのような印象を受けましたか?
松田:台本の文字を追っていった時自分が演じる人物像に酔ってしまい、嘔吐してしまいそうになりました。まるで欲望に手足が生えたような、この「鯖崎涼」という人物を、自分は演じていく、ということに。これは大丈夫なのか?という不安が溢れてくるほどの危うい世界観がそこにはありました。一方で、映像化した時、このストーリーをどういう風に美化できるか、世間で言われているような悪い男=「クズ男」を、観てくださる方にどれだけ気持ち悪いと思ってもらえるか、双方、とても楽しみだなと思いました。
――危うさと無邪気さが同居する鯖崎の佇まいは、常識の枠のなか生きてきた女性たちの人生までも翻弄していきます。松田さんは鯖崎のことを「クズ男」だと感じたのですね。
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松田:半端じゃないクズ男ですね(笑)。でも彼自身はそうした行為を悪いと思っていない。周りから見るとクズ男だけれど、鯖崎的にはそう思っていない、というのを根っこに持ちながら演じたいなと。面白いのは、台本を繰り返し読むなかで、読むタイミングや自分の精神状態によって、彼への理解が異なってくること。そうした多面的に変化する部分も含め、丁寧に演じたいと思っています。

――ご自身が感じている鯖崎の「わからなさ」「多面的」な部分をどう見せていきたいと思っていますか?
松田:鯖崎なりの人に対しての愛情表現はわかりそうでわからない、受け取る人によって見方の変わる微妙なニュアンスを持っていると思うんです。彼の愛情表現をわかりやすく演じた方がいいのか、それともわからないままに抑えるか、そのライン上を探りながら演じていきたいなと。たとえばこの場面は、視聴者の方に問いを投げかけるようにして、彼の真意を探ってもらおうかなとか、いろんなパターンを考えながら撮影に臨んでいます。
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――ドラマを観る方への見せ方をご自身のなかで構築する一方、これまで演じてきた作品や、今作でも「台本を読んでいるうちに酔ってしまった」など、松田さんは没入型の俳優さんという印象がありますが、ご自身ではどう感じていらっしゃいますか。
松田:自分でもわかっていないんです。でも僕は本当にお芝居が好きで。役を楽しみながら、自分のなかにあるもの、ないものをかけ合わせ、いろんな足し算、引き算をしながら演じています。素の僕自身、周りの方や環境によってガラッと性格が変わってしまうタイプなんです。その世界に入ったら、入り込むことしか自分は方法を知らない。だから誰よりも、その入り込んだ世界を楽しんでやろう、ということはいつも思っていますね。
――鯖崎の仕事は靴職人。繊細な仕事に真摯に向き合う一面が、彼の魅力のひとつにもなっていますね。
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松田:監修としてご指導をいただいている先生のお店を訪ね、作業をされている場所にお邪魔してきたんです。そこには、これまで自分がまったく知らなかった世界が広がっていました。職人の方々の繊細な手つきのひとつひとつ、そして真摯な眼差しに圧倒されました。その姿を拝見し、より丁寧に、この仕事が自身の核のひとつを作りあげている鯖崎を演じたいと思いました。ドラマのなかで、皆さんにご覧いただくことができるのですが、鯖崎が履くための靴を先生がオーダーメイドで作ってくださったんです。本当に僕の足の形にぴったりで、履きやすく、一生ものの靴だと感じました。いただいた時のそのうれしさや、自分の足に合う良い靴を履くという歓びも、靴職人・鯖崎を通して皆さんに届けられたらと思いました。
――興味を持った女性には、恋人や配偶者がいるかどうかは関係なく、無邪気に近づいて、翻弄してしまう。なぜそれほどまでに皆が鯖崎に惹かれるのか、その魅力について、ご自身が感じているところをお聞かせください。
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松田:靴職人として真摯に仕事に向き合う顔もあるなかで、ちょっとふわっとする顔もあったりして。そのギャップ、いろんな顔を持っているところが魅力だなと。楽しくなったら自然に笑っちゃうみたいな人間味の溢れているところも。疑問に思ったら「どうしたの?」と、ストレートに相手に訊ねるまっすぐさ、表情も感情もコロコロ変わるところも、周りから見ると可愛いなと思われるところなのかなと。そこに自分も鯖崎の魅力を感じたし、観ている方にもそう思っていただけたらいいなと思っています。
――彼の心がしんどくなってしまうシーンもストーリーの先に待っているのではないかと思いますが、役と同じように苦しくなってしまいそうですか?
松田:これまで演じてきた役もそうでしたが、そういうとき、僕はかなり食らってしまうんです。カットがかかるとケロッとしているのですが、演じている瞬間はつらいですね。でもその人物を生きる、というのが自分は好きなので。そして食らった分だけ、俳優としての成長にもつながると考えています。今作ではきっと食らいまくると思います。
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――鯖崎は一度きりの人生なのだから思いきり楽しまなければ、という考えのもと、行動している人物ですが、松田さんご自身はいかがですか。
松田:一度きりの人生なのだから、と考えているところは彼とまったく一緒ですね。いつ死んでもいい、と根っこの方で思っているので。だから、仕事でもプライベートでも、何ひとつ後悔がないように、と思いながら全力で生きています。抑えるのが好きじゃないんです。それがいいのか悪いのかわからないのですけれど。でも100%出し切るなかで、調節を細かくできるスキルは徐々に身につけていきたいなと思っています。
――年齢も境遇も異なる男女たちの赤裸々な姿が浮かびあがる『はだかんぼうたち』というタイトル。このタイトルから松田さんが思われること、そして視聴者の方にこのドラマを通じて託したいことについてお聞かせください。
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松田:登場人物たちの赤裸々な行動は正解なのか、正解ではないのか。もちろん何に対しても正解はないと思うのですが、ふわっとしていても、それも正解なんじゃない?みたいなことを、僕はこのタイトルからは感じています。自分で決めても、誰かの答えに流されていってもいいし、流されなくてもいい、ふわっとしたものでもOKじゃない?みたいな。描かれていく禁断の愛をはじめ、一般的に「ダメ」と言われるものは人それぞれ、その基準が違っているからこそ、美しいものにもなると思うんです。言葉にするのはとても難しいけれど、ふわっとしたものこそ美しいんだ、と感じてもらえる作品になったらいいなと。ドラマを観てくださる方々には、ぜひ肩の力を抜き、自分の心を遊ばせながら、楽しんでいただきたいですね。

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取材・文=河村道子
【番組情報】
オンドラサタデー『はだかんぼうたち』
原作:江國香織『はだかんぼうたち』(角川文庫/KADOKAWA刊)
出演:松田元太、加藤ローサ、髙木雄也、大沢あかね、ほか 脚本:大北はるか 監督:久万真路、長尾くみこ、若林将平、音楽:近谷直之 プロデューサー:残間理央(テレビ朝日)、島本講太(ストームレーベルズ)、岡 美鶴(ソケット)インティマシーコーディネーター:西山ももこ
毎週土曜23:00~23:30 テレビ朝日系24局
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