
「誰のおかげでメシが食えると思ってる!」「文句があるなら出ていけ!」
意見をすれば横暴な言葉を返してくる父は、定年後も家事は一切せず、目の前のリモコンすら自分ではとらない。お酒や認知症の問題も出てきて、ついに母がダウン。典型的な昭和の男、“殿さま”のような父を介護することになってしまった次女・史子を主人公にした漫画『殿さまとわたし』(ぬまじりよしみ/双葉社)。著者が長年父と母を介護してきた経験をもとにしたフィクション作品だ。
「家族は自分の言うことをきくのが当たり前」という態度に翻弄される日々をリアルに、しかしコミカルに描く。そして父娘の物語だけでなく、姪夫婦の危機など家族の問題を描く本作。著者であるぬまじりよしみ先生に本作を描くに至った経緯から実際の介護生活についてなど、幅広くお話を伺った。
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――1巻あとがきに、「本作のテーマは家父長制とミソジニー」とありました。なぜこのテーマで漫画を描こうと思ったのでしょうか?
ぬまじりよしみ先生(以下、ぬまじり):学生の時、性別役割分業思想について勉強するゼミにいたのです。そこで似たようなテーマについて考えていたのですが、もう漫画を仕事にしていたので、卒業時はドタバタで。この話を卒論のつもりで描きました。
――今でもモラハラ夫と呼ばれる男性が多くいる中で、弟さんは女性を蔑視する男性にはならずに育ったとあります。作中には「お姉さまたちの教えもあった」とありましたが、どんなことを伝えていましたか?
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ぬまじり:この点はフィクションです。弟は自ら父を反面教師にし、母と仲良しで、優しい男に育ちました。
――作中には夫との夫婦生活の問題で悩む女性・遥も登場します。
ぬまじり:遥の問題は、私が知人から直接聞いた話がモデルになっています。当時まだ若かった私にはかける言葉がありませんでしたが、生活のために性的なことを無理強いするのはおかしな話です。夫婦間の問題って性的なものに限らず、「自分だけが我慢すれば……」と思ってしまうこともあると思うのですが、歪な夫婦関係は子どもにも悪影響なものだと思います。ぜひ戦ってほしいです。
取材・文=原智香
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