
「誰のおかげでメシが食えると思ってる!」「文句があるなら出ていけ!」
意見をすれば横暴な言葉を返してくる父は、定年後も家事は一切せず、目の前のリモコンすら自分ではとらない。お酒や認知症の問題も出てきて、ついに母がダウン。典型的な昭和の男、“殿さま”のような父を介護することになってしまった次女・史子を主人公にした漫画『殿さまとわたし』(ぬまじりよしみ/双葉社)。著者が長年父と母を介護してきた経験をもとにしたフィクション作品だ。
「家族は自分の言うことをきくのが当たり前」という態度に翻弄される日々をリアルに、しかしコミカルに描く。そして父娘の物語だけでなく、姪夫婦の危機など家族の問題を描く本作。著者であるぬまじりよしみ先生に本作を描くに至った経緯から実際の介護生活についてなど、幅広くお話を伺った。
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――本作では、介護について姉弟それぞれの立場も描かれます。実際に姉弟間の「介護への向き合い方の違い」は実体験でも感じたことでしょうか?
ぬまじりよしみ先生(以下、ぬまじり):主に私が介護をしていましたが、ひとりは母を迎えてくれ、ひとりは遠方の病院への通院などを助けてくれました。父への想いもまたそれぞれ違って、意見が違うこともありました。
――本作では、「家が一番近い」という理由で史子に負担が集中します。こちらも実体験でしょうか?
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ぬまじり:家が近いというだけではないですね。うつ病が長引いて、漫画の仕事がなくて…いろいろなことがあってその結果、私がフルで世話をすることになりました。母が倒れたのですが、父はピンピンして酒を飲んでいて、そのくせ、何かをしようとする気はなく。「これは長くなるかも」と今後仕事を再開したらお願いしようと思っていたアシスタントさんとの関係を解消しました。離職した気分でした。
――今もさまざまな理由できょうだいや家族の中で自分だけに負担が集中している、という悩みを持っている人は多いと思います。アドバイスをするとしたら、どんな声をかけますか?
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ぬまじり:具体的な話になりますが、まず使ったお金は記録しましょう。どれだけ大変だったかも記録して、半年に一度伝えましょう。いちいち言うとうるさがられます。客観的に負担を“見える化”して、いつか清算するときに備えましょう。
取材・文=原智香
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