
「誰のおかげでメシが食えると思ってる!」「文句があるなら出ていけ!」
意見をすれば横暴な言葉を返してくる父は、定年後も家事は一切せず、目の前のリモコンすら自分ではとらない。お酒や認知症の問題も出てきて、ついに母がダウン。典型的な昭和の男、“殿さま”のような父を介護することになってしまった次女・史子を主人公にした漫画『殿さまとわたし』(ぬまじりよしみ/双葉社)。著者が長年父と母を介護してきた経験をもとにしたフィクション作品だ。
「家族は自分の言うことをきくのが当たり前」という態度に翻弄される日々をリアルに、しかしコミカルに描く。そして父娘の物語だけでなく、姪夫婦の危機など家族の問題を描く本作。著者であるぬまじりよしみ先生に本作を描くに至った経緯から実際の介護生活についてなど、幅広くお話を伺った。
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――本作は介護がテーマではあるものの、主人公・史子の姪夫婦の問題も描かれ、読み応えがある「家族のお話」になっているのが印象的でした。
ぬまじりよしみ先生(以下、ぬまじり):20年近く仕事をしていなかったのもあって、「これが最後の機会かも」と欲張ってテーマを盛り込みました。史子の姉・浩子は父への反発から結婚生活において対等な夫婦関係を築きますが、それを見て育った娘の遥は「夫婦ってみんなそうだ」と思い込んでいる。でも、遥の夫はそうではないから遥夫婦はこじれてしまった。家族は本当にそれぞれで、それが世代を超えて影響していきますよね。父が殿になってしまったのも本人だけのせいではなくて、父の家庭に問題があったりするわけで。その人単体では判断できないややこしさがあるなと感じたので、そのあたりのことも描ければなと思いました。
――ご親族の中で、本作の存在を知っている方はいらっしゃいますか? どんな感想がありましたか?
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ぬまじり:母の妹である叔母たちには父の世話を手伝ってもらってきたので、掲載誌を毎号読んでもらっていました。懐かしんでくれました。きょうだいも「お前がほとんどやってきたのだから描く権利はある」と許可をくれましたし、完結してみると「描いて良かったね」と言ってくれました。
取材・文=原智香
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