
花粉がつらい春に、暑すぎる夏。つい食べすぎてしまう秋に、薄暗く寒い冬。つらく感じることもあるけれど、季節は日常を豊かに彩ってくれる。にいざかにいこさんが描く『季節が好きなわたしとマダム』(KADOKAWA)は、季節がくれる小さな喜びを詰めこんだ癒やしの物語である。本稿では、本作に収録されている描き下ろしエピソードの魅力を紹介する。
キコは夫と息子の3人暮らし。物語は、新居に引っ越したばかりのキコの荷解きから始まる。料理好きな彼女にとって、キッチンの片付けは心おどる作業だ。ウキウキした気分で片付けを終わらせたキコは、「今日からぼちぼち料理もしたいな」と思い立つ。引っ越しの後で外食やお弁当が続いていたのだ。
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キコは、はじめて訪れた近くのスーパーで新キャベツや菜の花を買いこみ、自分のために春色のパスタを作った。具材を炒めたフライパンでそのままパスタも茹でてしまう簡単ワンパンレシピ。本書のレシピは、「2026年度 第13回料理レシピ本大賞 in Japan」でコミック賞に選ばれたというお墨付き。完成したレシピの写真には材料や作り方が添えられており、今すぐキッチンに立って作りたくなってしまう。
新しい街では、食材を買いに行くスーパーも、住んでいる人たちもみんな違う。不安がないといったらきっと嘘になる。けれども、新しい季節が巡ってくることだけはこれまでと変わらない。季節を楽しむ小さな知恵があるからこそ、新しい生活に胸が高鳴るのだろう。キコとマダムが紡ぐ心あたたまる日々の続きは、ぜひ書籍を手にとって楽しんでほしい。
文=吉田あき
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