
“いい母親”とは一体どんな人で、“正解の育児”とはどんなものなのだろう。母親になると、そうした疑問が付きまとい、自分自身の在り方が分からなくなる時がある。
『わたし、迷子のお母さん ある日突然、母親するのが苦しくなった』(らっさむ/KADOKAWA)は、母親のリアルな葛藤が詰め込まれた漫画だ。主人公の楓はひとり娘を持つ、ワーキングマザー。キャリアと子どものどちらも大切にしたくて日常を踏ん張っていたが、ある日、心の糸が切れ、自宅へ帰れなくなってしまった。
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だが、楓はそれを機に、自分の心が限界であることに気づき、育児との向き合い方を見つめ直していく。
子育て中の女性が抱えるリアルな悩みを落とし込んだ本作に、著者は一体どんな想いを込めたのだろうか。制作秘話や、母親を辞めたくなる前に意識したい心の守り方などをうかがった。
――らっさむさんは母親になってから自身の心を守るため、育児中に「逃げ場」にされていた場所や存在などはありましたか?
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らっさむさん(以下、らっさむ): 第一子が幼い頃、ママたちのためのイベントを仲間と企画していました。当時7カ月の子を、おんぶしながらです(笑)。このイベントではノンアルコールビールやちょっとした食べ物を販売したり、子どものヘアカットとかママたちのマッサージとかもしたりして。他にも、ママ友たちと宅飲み会もしていました。今思えば、子どもとずっとひとりで向き合うのが辛くて、そうした忙しさに逃げていたんだと思います。
こうしたママ友との時間は子どものことを考えなくてもいい時間でもありました。あとは、仕事の間も逃げ場になっていました。仕事の忙しさに追い詰められつつも、仕事にも救われていましたね。
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――精神的に苦しくて「家に帰れない」と思っても、自宅に子どもがいてやるべき家事などがあると、母親はコンビニの駐車場で時間をつぶすなどの逃げ道を選びにくいですよね…。
らっさむ:私はお風呂にひとりで入りたいママだったので、早々に子どもに「ママ、ひとりでお風呂入ったらめっちゃ元気になる!」と伝え、ひとり時間を確保してもいました(笑)。子どもだけでなく、夫にも宣言して協力してもらっていましたね。
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あと、夫に「飲み会があろうが家でご飯食べようが食べなかろうが、皿洗いだけはやってほしい」と伝え、家事分担をして負担を減らしていました。最近は子どもたちが大きくなってきたので、夫が在宅の日は夜にママ友と近所の温泉に行ったり、飲みに行ったりする日もあります。人に頼って育児や家事をサボっても「ま、いいや」って思えるくらい図太くなれると、自分の中の母親としての“べき”が手放されていき、ずいぶん楽になれる気がします。
――ご自身の経験も踏まえ、「お母さんを辞めたい」と思い、心が限界を迎えてしまうほど、心が追い込まれないためにはどんなことが大事だと思われましたか?
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らっさむ:自分の中の優先順位を明確にして「譲れないことで悩まない」と決めている人は、とても強いと思いました。特に子どもが小さい頃は小さな葛藤の連続ですよね。次々と増えるタスクに対し、時間に追われる中で常にベストな選択をするなんて不可能なんです。だからこそ、何を優先するかを絞ることが大切だと思います。
また、余裕のある時に“頼り頼られる関係性”を他人と作っておくことも、この辛い時期を乗り越えるのにとても重要だと思います。
取材・文=古川諭香
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