
“いい母親”とは一体どんな人で、“正解の育児”とはどんなものなのだろう。母親になると、そうした疑問が付きまとい、自分自身の在り方が分からなくなる時がある。
『わたし、迷子のお母さん ある日突然、母親するのが苦しくなった』(らっさむ/KADOKAWA)は、母親のリアルな葛藤が詰め込まれた漫画だ。主人公の楓はひとり娘を持つ、ワーキングマザー。キャリアと子どものどちらも大切にしたくて日常を踏ん張っていたが、ある日、心の糸が切れ、自宅へ帰れなくなってしまった。
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だが、楓はそれを機に、自分の心が限界であることに気づき、育児との向き合い方を見つめ直していく。
子育て中の女性が抱えるリアルな悩みを落とし込んだ本作に、著者は一体どんな想いを込めたのだろうか。制作秘話や、母親を辞めたくなる前に意識したい心の守り方などをうかがった。
――本作では、ワーキングマザーの楓がキャリアと子育ての間で揺れ動く姿がリアルでした。そうした葛藤は、ご自身も経験されたことがあるのでしょうか。
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らっさむさん(以下、らっさむ):そのあたりは、子育て系のウェブサイト制作に携わっていた時に聞いたワーキングマザーの方たちのお話を参考にしました。
世代が若くなればなるほど「そこまで仕事を頑張りたくはない」という意見もあるようなんです。同じワーキングマザーという立場でも葛藤の種類に世代差があることを知ったので、その部分もエピソードとして取り入れました。
――楓はキャリアを積み上げていきたいからこそ、“残業できる子持ちの男性社員”に対してもモヤモヤしていました。キャリアと育児を両立する上で、父親と母親では違った苦しみが生じますよね。
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らっさむ: 男性には「一生働き続ける選択肢しかない」というプレッシャーが常につきまとっていますよね。一度ブランクができると社会復帰するのは、まだまだ難しいのではないでしょうか。
一方、女性の場合は出産や子育てなどで価値観が変わったと同時に起業したり、フリーランスになったりする方もいるので、働くことへの自由度は男性と比べると、ある程度高いのかもしれません。
ただ、ママたちのひとり時間や残業は“許可制”であることも多いと感じます。時間や家事、料理などをやりくりして家族の予定も確認し、夫に許可をもらってようやく残業できることも多い。そのフラストレーションは相当だと思います。
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――ワーキングマザーが育児とキャリアの両立をするには、自身の年齢も悩みの種のひとつになるかと思います。上司から期待され、スキルアップへの意識が高まっているけれど、私生活では年齢的に2人目の妊活を悩むなどはあるあるだと思います。こういう悩みを解決するには、企業側のサポートも大事ですよね。
らっさむ: 妊活という言葉ができて以来、妊娠は「タイミングをコントロールできるもの」のように捉えられるシーンがあると感じています。でも、子は基本的に授かりものなんですよね。介護や体調不良のように、いつ誰の身に起こるものか分からないものだと思うんです。
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だから、ある程度の計画性は必要だけれど、企業側は妊娠を特別扱いしすぎなくてもいいんじゃないかなと。いつでも欠員が出た時の対策を想定しておき、既存の社員で補いながらも、社内で不満を募らせる環境を生まないように配慮をしてもらえたらありがたいですよね。妊娠時だけでなく、頑張っている人がちゃんと報われる制度ができてほしいと思います。
取材・文=古川諭香
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