
“いい母親”とは一体どんな人で、“正解の育児”とはどんなものなのだろう。母親になると、そうした疑問が付きまとい、自分自身の在り方が分からなくなる時がある。
『わたし、迷子のお母さん ある日突然、母親するのが苦しくなった』(らっさむ/KADOKAWA)は、母親のリアルな葛藤が詰め込まれた漫画だ。主人公の楓はひとり娘を持つ、ワーキングマザー。キャリアと子どものどちらも大切にしたくて日常を踏ん張っていたが、ある日、心の糸が切れ、自宅へ帰れなくなってしまった。
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だが、楓はそれを機に、自分の心が限界であることに気づき、育児との向き合い方を見つめ直していく。
子育て中の女性が抱えるリアルな悩みを落とし込んだ本作に、著者は一体どんな想いを込めたのだろうか。制作秘話や、母親を辞めたくなる前に意識したい心の守り方などをうかがった。
――そもそも、どのような経緯や想いから、本作を描こうと思われたのでしょうか?
らっさむさん(以下、らっさむ):元々「いつか、母親としての息苦しさ」みたいなものを漫画で描きたいと思っていたんです。そんな中、執筆のチャンスをいただけたので挑戦したのがきっかけでした。
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――主人公・楓のモデルになった人はいますか?
らっさむ:モデルはいませんが、眉尻が下がった困り眉毛で何事もさっぱり割り切れないウエッティな性格なのに、仕事はバリバリこなす母親を描きたいと思っていました。そういう主人公の方が、現代社会ではリアルな母親ではないかと思っていたんです。
――実際にご自身も“母親”という肩書きにプレッシャーを感じたり、疲れたりした経験はありましたか?
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らっさむ:すごく感じていました。私は子どもが生まれるまで人との関係性が流動的で、濃密な対人関係を避けていたところがありました。だから、出産後は子どもと一対一で24時間、同じ空間で過ごすことに戸惑いました。
初乳のあげ方も分からないし、言葉の通じない子どもは何を求めて泣いているのかも分からない。実母の善意によるアドバイスすらダメ出しに聞こえて、すごくプレッシャーだったし、しんどかったです。今思うと、“母たるもの”という呪いを、自分自身に課してしまっていたんだと思います。
取材・文=古川諭香
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