
本当はいいやつなのに、イカつい見た目のせいで怖がられ、時にトラブルに見舞われるふたりのシュールな日常を描いた『見るからに怪しい二人』(鬼澤馬勇/KADOKAWA)。常に怖がられ、人から遠巻きにされがちなふたりだが、声をかけてくる人もいるようで……。
ある日、路上で壁にもたれながらコーヒータイムを楽しんでいた男。そんな彼に「そこの君ッ」と声をかけてくるのは、いつものように警察官……と思いきやそうではない様子。おしゃれな帽子とスカーフを身に着けたその人は、有名な映画監督。そして「映画に興味はあるかね!?」と突然最新作へのオファーが始まる。
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オファーされた役柄は殺人鬼。家族に憎まれ孤独に生きてきた男が、あることをきっかけに殺人に快楽を覚え、自分を虐げてきた家族に復讐を始める役どころだそう。しかもなんと、主人公だと言うではないか。「その濁り淀みきった瞳!」「すべての愛を拒絶し絶望している表情!」と褒めているのかけなしているのか、微妙なワードチョイスで男を絶賛する監督。しかし男は有名監督からの、しかも主人公という特大オファーを「ミーくん(弟)と映画見るから…」という理由であっさり却下してしまう。この無欲すぎるゆるーい感じも男の、そして本作の魅力なのだ。
どうしても映画に出てほしい監督は、この後男のこぼす一言一言を真に受け、ストーリーまで変えようとする。最終的にどんな映画が出来上がろうとするのか……ぜひ注目して読んでいただきたい。
文=原智香
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