
『ねこに転生したおじさん』(やじま/KADOKAWA)は、その名の通り、ごく普通のおじさんがある日突然、かわいい猫に転生してしまうコメディ漫画。SNSで人気を集め、「次にくるマンガ大賞2023」Webマンガ部門で2位を獲得。その後TVアニメ化もされた人気の作品だ。
主人公は、ごく普通のサラリーマンのおじさん。ある日、目を覚ますとなぜか猫の姿になっていた。小さくて軽い体に戸惑い、人間の言葉が話せなくなっていて、これからどうすればいいのかと困っていると、なんと彼が働く会社の社長に拾われてしまう。しかもこの社長、会社ではコワモテで厳しい人なのに、猫を前にすると態度が一変。猫になったおじさんに「プンちゃん」と名づけ、デレデレになってかわいがり始める。もちろん社長は、目の前のかわいい猫の正体が自分の会社で働くおじさんであるとは夢にも思っていない。
続きを読む
「見た目はかわいい猫、中身はおじさん」というギャップが本作の肝だ。プンちゃんが猫らしいかわいい仕草をしている場面でも、その内側ではおじさんが人間の感覚であれこれと考えている。その落差がなんともシュールで、思わず笑ってしまうことだろう。さらに笑いを生むのが、社長との関係だ。人間だったときは会社で会うと緊張してしまう相手だった社長。それが今度は抱きしめられ、撫でられ、これでもかというほどの愛情を注がれる。猫になったことで、これまで知らなかった社長の一面を間近で見ることになる。
猫になってしまった理由は? 元の姿には戻れるのか? そんな疑問も、本作を読んでいると、いつしかどうでもよくなってくる。おいしいものを食べ、眠くなったら寝て、好きなときに遊んで、誰かに思いきりかわいがってもらう。猫になったおじさんの毎日は、なんだかとても幸せそうだ。
続きを読む
中身がおじさんだとわかっているのに、プンちゃんがかわいくて仕方がない。そして、なぜかプンちゃんを溺愛する社長までもがかわいく見えてくる。シュールな笑いと猫のかわいらしさ、そしておじさんふたりの奇妙でほほえましい関係に、読むほどに癒やされることだろう。
文=座美山佐須郎
記事一覧に戻る