
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
『消えたい夜に救われたい 30年間苦しめられたトラウマに向き合った話』(宮城みち:著、利根川義昭:監修/KADOKAWA)は、性被害によるトラウマをずっと抱えてきた女性が、専門家の力を借りながら過去と向き合い自分を取り戻していく物語。著者・宮城みち氏の実体験をもとに描かれたコミックエッセイだ。
主人公・みちは、幼いころに受けた祖父からの性被害と、未遂に終わったものの従兄弟からの性的な暴力行為によって、30年間、心に大きな傷を負ったまま生きてきた。何かのきっかけがあるたびに、過去に受けたつらい記憶や感覚が今起きているかのようによみがえる「フラッシュバック」と、慢性的な体調不良や無力感などが常につきまとい、日常生活に大きな影響を及ぼしていた。この生きづらさから抜け出すために、トラウマ治療について本格的に調べ始める。
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しかし、専門的な治療にたどり着くまでにはいくつもの壁があった。そもそも情報が少ないうえに、過去に被害を打ち明けても見て見ぬふりや否定をされてきた経験があることから、誰かに相談することへ大きな抵抗があった。それでも探し続けた結果、トラウマを専門に扱う心理士と出会い、オンラインでカウンセリングを受けることになる。そこではこれまで悩まされてきた、自分ではどうにもならなかった感情と向き合いながら治療を進めていくにつれて、ずっと当たり前と思っていた心の状態に変化が現れるようになる。
作中ではPTSD=心的外傷後ストレス障害についての解説や、フラッシュバックをはじめとするトラウマによるさまざまな反応、それらに対する心理療法について、専門的なことは図解を交えながら分かりやすく説明されているため、物語を追いながら一気に読み進めることができるだろう。
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宮城氏がそうだったように、誰かに頼ることができず苦しんでいる人はきっと多いはずだ。本作をきっかけに一人でも多くの人が救われることを願ってやまない。そして何より、つらすぎる過去をコミックエッセイとして公開してくれた宮城氏に敬意を表したい。
文=ゆくり
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