
事情を抱える人の特殊な引っ越しを請け負う業者、“夜逃げ屋”。宮野シンイチさんの『夜逃げ屋日記』(KADOKAWA)は、著者がそんな夜逃げ屋で働いた日々を綴った1作だ。
2015年、マンガ家としての仕事はなく、編集部に持ち込んだ原稿もコテンパンにされてしまう宮野さん。満身創痍で帰宅しテレビをつけると、「夜逃げ屋」の特集をやっている。そこで宮野さんは、危険な職業である夜逃げ屋の社長が女性であることに驚く。同時にこの女性についてマンガを描きたいと思い、“友達がDVを受けている”というていで、まず仕事の詳細を聞こうと決意。しかしいざ電話してみると……。
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この作品を読むまで、私は“夜逃げ屋”が具体的にどんなことをしているのか知らなかったし、同じように思っている人も多いのではないだろうか。確かに言われてみれば何かから逃げるための引っ越しの場合、通常の引っ越しのように業者に家の中を見てもらって見積もりを取ったり、事前に段ボールに荷物を詰めたりできるわけがない。多くの制限の中で、迅速に引っ越しを完了する必要があるはずだ。
作中、宮野さんが観ていた特集番組では配偶者やストーカーから逃げるための手段として夜逃げ屋が紹介されているが、その場合は万が一引っ越し中に相手が現れた場合も想定しなくてはならないし、引っ越し先が相手にバレないようにする必要もある。
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考えただけで困難が多すぎる引っ越しを積極的に引き受ける夜逃げ屋の引っ越し方法とは? どんな人がどのような理由で働いているのか? 今頭の中に浮かんだであろう疑問に、本作はしっかり応えてくれる。著者はこの後夜逃げ屋で働くことになるのだが、体験したものにしかわからない内容がぎっしり詰まったマンガだ。
文=原智香
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