
先日酒の席があった。
この連載を担当しているK社のM原と、その手先であるB社のO澤によって催されたものである。
かねてより憧れていた「作家として呼ばれて飲むやつ」だ。
文庫本の最後に解説があるが、そこは作家本人ではなく関わりが深かった人の文章が載る。
例えばよくこんなことが書いてあります。
「先生と初めてお会いしたのは新人賞授賞式後の酒の席でした」
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「賞金の入った封筒をそのまま麻雀のツケ払いに取られ、豪快に笑っておられた」
「彼は素晴らしいお人柄で、先生と呼ばれるといつも気恥ずかしそうにされ──」
「読む人を虜にする作品たち。僕も夢中になって読んだ」
パーソナルに関する好感の持てるエピソードと、作品への賞賛が中心となって読者はああ、この本を読んでよかったなぁと二重に実感するわけだ。
著者を貶したり、作品をボロクソにこき下ろすような「解説」は存在しない。
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となると毎月大量に世の中に出る「登録者〇万人!人気YouTuber初エッセイ!」みたいな書籍の解説欄を是非自分に書かせて欲しいと思ってしまう。
今まで誰も見た事がないような革新的な内容をお届けする自信がある。
なんてったって私も物書きYoutuberごっこをやっているのだ、趣味レベルだけど。
3人で騒いだ夜は実に愉快で、以前出した本の売れ行きが好調だとか、社内での評判がどうだとか、墾田永年私財法は時代錯誤の悪法だとかそんな話をした気がする。
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久々の楽しい酒に私は歯止めを失い、正体が無くなるまで飲んだ。
辛うじて電車の乗り、家に帰ってからも又飲んだ。
それだから楽しかった内容をほとんど覚えてはいない。
酔って楽しい時は大体記憶がない、これは大変に便利な機能である。
酒による失敗をゼロにする事ができる、大事をしでかしても覚えていないのだから。
でも何か重要な事を話した気がする──K社の経費で飲み食いしたのだから、それはおそらく仕事に関する件だらう。
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グーグル・ドライブに残されたメモには「資本主義を終わらせよう」とだけ書かれている。
どうやら経済紙向けの原稿を勢いに任せて請け負っちまったらしい。
俺は経済が大好きだ。
毎日株価が気になるし、東証は一部どころか全部見ている。
出演料を支払った三流経営者達がズラッと並ぶ前に引き出され、金を貸してくださいと懇願する哀れな庶民を皆で嘲笑するプレゼン番組、アレも大好きだ。
いつか出てみたいとすら思う。もちろん庶民側で。
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無責任なバカ親とその被害者たちによる大家族バラエティなんか涙を流して見ています。
貧富の差は教育の差を生み、それがまた貧富の差を生みループする。
これが美しき経世済民の御姿である。
この星から貧富の差を無くしたい。分断を、差別を、争いを無くしたい。
そのためには暴力革命で資本主義を終わらせる必要があるな。
誰もが皆平等に貧乏で、配給されたジャガイモを食べる平和な世界──それは愚かな我々への尊い救済となるだろう。
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そしてこの暴力連載「独身獄中記」は今回をもってしばし休載としたい。
それは駄文に苦しむ読者諸君と、蕁麻疹に悩むM原。そして婚期という人生の締め切りに追われる私自信への救いだ。
ところで表題の大変可愛い柴犬の写真、これは一体どういった意味があるのか。
78回までしぶとく読んだ貴方なら、きっと答えに辿り着く。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
令和8年9月16日
絶望ライン工
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