※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年10月号からの転載です。
今回の舞台である香川県は「うどん県」の愛称でも知られるほど、うどん文化が根付いた場所だ。しかし、香川の魅力はそれだけではない。3年に一度、瀬戸内の島々を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭」が開催されており、実は現代アートと縁の深い県でもある。そんな香川に暮らす人々がどんな本を愛読しているのか、少しずつ紹介してもらおう。
構成・文:イガラシダイ イラスト:千野エー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年10月号からの転載です。
今回の舞台である香川県は「うどん県」の愛称でも知られるほど、うどん文化が根付いた場所だ。しかし、香川の魅力はそれだけではない。3年に一度、瀬戸内の島々を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭」が開催されており、実は現代アートと縁の深い県でもある。そんな香川に暮らす人々がどんな本を愛読しているのか、少しずつ紹介してもらおう。
構成・文:イガラシダイ イラスト:千野エー
編集者、プロサッカー選手、木工家、エンジニア、小説家……。香川に暮らす、ちょっと変わった職業の人たちに話を聞き、“香川で働くこと”に迫る。「香川県丸亀市を中心に、このまちで暮らす方々の生き方・働き方をインタビューしたオリジナルZINE」
著者が香川を訪れるたびに覚えた感動をたっぷり込め、香川の魅力を紹介するガイドブック。旅エッセイとしても読める、唯一無二の一冊。「いまだ色褪せない岡本さんの香川案内。この本を片手に香川県の方々とたくさん出会っていただきたい」
伝統的な箒づくりを通して、人間が織りなす文化をあらためて見つめ直す。美しい文化を失わず、私たちが人間らしく生きていくために必要なこととは。「これまで、そして、これからのものづくりを考えたい時。著者の吉田さんの言葉にはとても励まされる」
[地域と繋がる本の街 城南書店街]
〒763-0072 丸亀市山北町434-1平井ビル1階西 Instagram:jonansyotengai_
2023年8月にオープンした、丸亀城の南側に位置するシェア型書店。2027年2月には城南書店街が主催するZINEと本のイベント「ZINE MART VOL.3」を丸亀市で開催予定。
戦後、創造の翼を広げた3人の表現者を軸に、お洒落と人生との関係性をひもといていく一冊。「うつくしいものを纏った時、うつくしいものに触れた時の、地上から2センチくらい浮き上がるようなあの、“ふわっとする”感覚を思い出させてくれます」
夢破れた調律師と、若い妻を失った実業家。傷ついた男たちの人生が、静謐とともに語られる。「終始メランコリアの繭の中に包まれているような読み心地。悲しみと喪失だけで出来上がっているような儚さが心地よく、物語の中でまどろんでいたくなります」
ニースと京都を行き来しながら暮らす著者による、漢詩翻訳エッセイ。日常の中でふと浮かぶ漢詩の一節が、孤独をやさしく溶かしていく。「いま、ここに縛られて生きている私たちに、まったく別の物差しを差し出してくれる軽やかな風のような心地よい文章です」
[本屋ルヌガンガ]
〒760-0050 高松市亀井町11-13中村第二ビル1階 ☎ 087-837-4646
HP:https://www.lunuganga-books.com
2017年に、誰かにとっての「馴染みの本屋」を目指して開業した書店。読書会やトークイベントなども積極的に行い、新しい本、人との出会いの場を提供している。
慌ただしい毎日を“のほほん”に変えてくれるヒントがたっぷりとつまった一冊。「西尾さんの言葉はどれものんびりとした空気をまとっていて、まるで穏やかな瀬戸内の風景みたいです。海にぷかりと浮かんでいるような心地よさを味わえる一冊」
外国で人質事件に巻き込まれた日本人たちが朗読会を始める。静かな声で語られるのは、ささやかで忘れられない物語。「私たちの人生を形作っているのは、ドラマチックで劇的な話ではなく、何の変哲もないこうした日常なのかもしれない」
生も死も飛び越えて、交差する者たちをめぐる短編集。悲しみや苦しみに向き合った先に訪れる、かすかな希望。「世界が理不尽なものであっても、私たちは生きていかなければならない。読んだ後もじんわりと心に残り続ける、美しくもはかない物語」
[TUG BOOKS]
〒761-4121 小豆郡土庄町淵崎甲1926 Instagram:tugbooks_shodoshima
小豆島にて店を持たない本屋として活動していた店主が、古い民家を自らリノベーションして2022年8月末にオープンした書店。カフェが併設されており、お茶を飲みながら本を読むことができる。
雄大な瀬戸内海と緑豊かな木々、そこに流れるのどかな空気。香川は自然の恵みに愛された土地だ。2024年、そんな場所でロケが行われたドラマ、映画が公開された。そう、『からかい上手の高木さん』だ。同名タイトルの原作は小豆島出身のマンガ家・山本崇一朗によるもので、悪戯好きな高木さんと、彼女にからかわれてばかりの西片のやりとりが愛らしいと人気を集めた。小豆島ではロケ地マップを公開しており、いまでも作品を愛する人々が聖地巡礼に訪れているそうだ。
山本と同じく香川出身の篠丸のどかが描いたのは、『うどんの国の金色毛鞠』。タイトルにもあるように、作中にもうどんが登場することから、作者の地元愛が感じられる。また、篠丸が帯コメントを寄せたことで話題にもなっている新作マンガが、星文ろのによる『僕らは恋に落ちる瀬戸際で』だ。瀬戸内海を舞台に、東京から逃げてきた少年と、人魚の少女の恋模様が描かれている。
小説ではどうかというと、今年4月に大きなニュースがあった。『盤上の向日葵』『孤狼の血』などで知られる柚月裕子が高松市の市長を表敬訪問したのだ。きっかけは香川を舞台にした『誓いの証言』を書いたこと。執筆にあたって、柚月は高松市を2度、取材したという。