※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年10月号からの転載です。

2800年の時を超え語り継がれてきた英雄譚、「オデュッセイア」。西洋文学の礎にして、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスによる世界最古の冒険叙事詩を、『ダークナイト』『オッペンハイマー』のオスカー監督が、かつてないスケールで甦らせた。
主人公はギリシャの島国イタケの王、オデュッセウス。知略と勇気で10年続いたトロイア戦争を勝利に導いた英雄ながら神々の怒りを買った彼は、故郷を目指すもその後10年、消息を絶つことに。一方、夫の帰還を信じる王妃と息子が待つ王宮では、王位を狙う求婚者たちが宴を繰り返し、我が物顔で居座っていた……。
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映画の常識を次々と覆してきたノーラン監督が、長編映画では初となる全編をIMAXフィルムカメラのみで撮影。また聖地ギリシャを筆頭に、アイスランドやモロッコなど6カ国をまたぐ半年間のロケーション撮影を敢行し、壮大かつ重厚感あふれる圧巻の映像美を実現させている。
“こうきたか!”な〈トロイの木馬作戦〉にも興奮するが、閉じ込められた一行が単眼の巨人に襲われる洞窟シーンもまた、本物の洞窟撮影ゆえのリアリティや臨場感が際立つ、ハイライトシーンとなっている。
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[故郷への帰還]と客人を丁重にもてなす[ゼウスの掟]を核に、愛、絆、野心、裏切り、復讐が交差してゆく一大巨編。神話上の存在であるキャラたちに命を吹き込む、オールスターキャストの熱演も見事だ。なかでも己の愚行や良心の呵責に苦悩する、人間くさい英雄像を体現したデイモン、魔女キルケを外連味たっぷりに演じきったS・モートンが冴える。ハサウェイのファッショニスタぶりも眼福。
文:柴田メグミ
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『オデュッセイア』
監督:クリストファー・ノーラン 出演:マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ 2026年アメリカ 172分 配給:ビターズ・エンド、ユニバーサル映画 9月11日日本公開
●10年に及ぶトロイア戦争ののち、愛する家族が待つ故郷を目指す英雄オデュッセウス。さらに10年の歳月をかけ、荒れ狂う海、怪物、魔女、そして神々の介入という容赦なき試練に立ち向かってゆく……。
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