
理不尽なニュースや人間関係にモヤモヤしたときに、誰かから胸のすくひと言がほしい時はないだろうか。『花のあすか組!』などで知られる高口里純氏の人気作『グランマの憂鬱』(高口里純/双葉社)は、そんな現代人の心に心地よい刺激と温もりを届けてくれる人情コミックだ。連載11年目を迎え、2026年9月17日に第20巻が刊行される。
舞台は北関東の自然豊かな百目鬼村(どうめきむら)。主人公・百目鬼ミキは、村人たちから絶大な信頼を寄せられる女総領で、息子の妻・由真や、ミキを「グランマ」と呼び慕う幼い孫の亜子とともに暮らしている。平和に見える田舎町だが、村民間の些細な衝突から、移住者や観光客、そして帰省者が起こすトラブルまで、ミキのもとにはさまざまな相談事が持ち込まれる。
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ミキは、相談者の理不尽な言動や甘えに対して毅然と一喝しながらも、困っている人の本質を見抜き、優しく寄り添っていく。第20巻でもその姿勢は健在だ。テスト前に「数学捨てる」「やったってムダ」と言い放つ中学生たちに、ミキはカミナリを落とす。「学べることがどれだけ贅沢な事か」と諭すだけでなく、元校長を招いて百目鬼家で勉強会を開くなど、学びの本当の意味を示してみせるのだ。
単に、おっかないおばあさんで終わらない包容力と、周りを固めるキャラクターたちの愛らしさが、この作品の最大の魅力だろう。ミキの迫力に圧倒されつつも、孫の亜子がかわいらしく場を和ませ、義理の娘である由真も素直な敬意をグランマに向ける。愛ある「喝」の後に広がる温かな空気によって、読み手の胸の中もほぐされていく。さらに20巻では、幼い孫と過ごしながら「あと何回夏を迎えられるべ」と思いを馳せる、ミキの少しセンチメンタルな一幕も描かれており、普段の凛とした佇まいの裏にある等身大の素顔に、思わずほっこりするはずだ。
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時代が移り変わっても決してブレることのないグランマ・ミキの生き様と、村の人々が織りなす優しさに溢れるドラマは、現代社会に疲れた私たちに前を向く力を与えてくれる。
文=ゆくり
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