
『今日はひとりでごはん日和』(のもとしゅうへい/KADOKAWA)は、ふとできた空き時間に気になる店へ立ち寄り、ひとりでおいしいものを味わう時間を描いたグルメ系コミックエッセイ。ダ・ヴィンチWebで連載された『ほっつき食べ通信 ~偶然入ったお店でひとり飯~』に、描き下ろし漫画やコラムを加えて書籍化した一冊だ。
映画の開始時間を間違えてしまったときや、仕事が早く終わった昼下がり、学校の授業が終わってから次の予定までの数時間など。ぽっかりと空いた時間ができたら、あなたならどう過ごすだろうか。本作の著者・のもとしゅうへい氏は、そんな時間を使って、ふらりと気になっていた店へ足を運ぶ。行き先は、昔ながらの洋食店だったり、地元で愛される町中華の店だったり、旅先で偶然見つけた喫茶店だったり。誰かと約束して訪れるのではなく、そのときの気分とお腹の具合にまかせて店を選び、ひとりで料理を味わうのだ。
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本書には、横浜・野毛の老舗洋食店「センターグリル」や、長い歴史を持つ「上野精養軒」、鎌倉で地元の人たちに愛される町中華「中華大新」など、さまざまな実在の店が登場し、その土地やその店ならではの味が、のもと氏のやわらかな絵とともに描かれていく。おいしい料理だけでなく、店の佇まいやそこで働く人、窓から見える景色なども含めて楽しめるのが本作の魅力だ。
ひとりごはんのいいところは、誰にも気を遣わなくていいことだ。何を食べるかも、どの店に入るかも自分次第。行く店を変更したっていいし、気になる路地があれば寄り道したっていい。目的の店にまっすぐ向かうのではなく、歩いて、迷って、たまたま出会った店に入ってみることも。そんな気ままさが、いつもの街をちょっとした旅先に変えてくれる。
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誰かと食べるごはんももちろん楽しい。でも、ひとりだからこそ気づけることもある。忙しい毎日の中にぽっかりできた空白は、埋めなければならない時間ではなく、自分だけの小さな冒険を楽しむチャンスなのだろう。ページをめくれば、きっとどこかにフラッと出かけたくなるはずだ。そして、次に空き時間ができたときには、スマホを眺めて時間をつぶすのではなく、気になる店の扉を開けているだろう。
文=ソルティ・タムラ
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