
長年連れ添った夫婦は、お互いの考えていることがわかる――。なんだか素敵な言葉に聞こえるが、本当にそうだろうか? 『子育てしたら白目になりました』の著者・白目みさえさんはコミックエッセイの中で、夫の心の内を見事に言い当てる。
例えば夫が飲み物を運んでいる時、手元がぐらついて少し飲み物が零れる。しかし夫はそれを目視したにもかかわらず、スルー。何事もなかったかのようにそのまま歩いていってしまう。その時みさえさんは「今さあ…『まあいいか』って思ったよね?」と夫の心理を見事推察。
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またある時は、麦茶を飲む夫に遭遇。飲み終えた夫は、入れ物にわずか数センチだけ残る麦茶を凝視。そこでみさえさんは「今考えてること当ててあげよっか」と登場。「お茶が少ないことには気付いたけど洗うのは面倒だし、このまま冷蔵庫にしまおう」と夫の心情を言い当てる。
これはみさえさんが臨床心理士・公認心理師の資格を持っているからこその特別スキルというわけではない。同じような状況で同じくめんどくさいと感じるから、夫の気持ちがわかるのだ。なにかが零れた床を拭くことも、麦茶のボトルを洗い、新しく作ることも大きく時間を取られることではないが、それらすべてがどちらかだけの負担になったとしたら、その偏りは膨大なものとなる。みさえさんの夫は、決してみさえさんにそれらを押し付けようと思って行動しているわけではない。ただ「自分がやらなかったらその後どうなるか?」というところまで想像が及んでいないのだ。
家事をメインに担っていない側が、いかに“見えない家事”への解像度が低いかが、リアルに描かれたエピソードである。
文=原智香
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