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村上春樹の小説を読んでいると、いつの間にか現実とは少し違う場所に立っていることがある。月が二つ浮かぶ東京、高い壁に囲まれた街、羊男が暮らすホテルの暗闇――。しかも厄介なのは、そこへ至る扉が特別な場所にあるとは限らないことだ。階段を下りる。ホテルの廊下を歩く。誰かを探す。そんな日常の延長から、世界はふいに姿を変える。村上春樹作品のなかでも、とりわけ“不思議な世界”に迷い込む感覚を堪能できる5作品を紹介する。



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