
名家に生まれ、美しい容姿を持ちながら何不自由のない暮らしをしている。しかし、それでも人生は順風満帆とはいかないようで——。2026年8月7日に第2巻が発売された『脱落令嬢の結婚』(麻生みこと/祥伝社)は、それぞれが異なる「極太な実家」を持つ3人の令嬢たちの葛藤を描いたガールズストーリーである。
中心となるのは、裕福な家柄の娘ばかりが集う日本屈指のお嬢様大学で、ひときわ異彩を放っている3人の令嬢。大手調味料メーカーのひとり娘・安藤、大物政治家の孫娘で孤高のクールビューティー・主税、そして大学近くのビストロでなぜかアルバイトをしている別所の3人だ。充実したキャンパスライフを送っているように見える彼女たちだが、実は他人には言えない悩みや事情を抱えていた。
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物語は、別所が働くビストロで起きた小さなハプニングから動き出す。店内でマッチングアプリの相手に騙されかけていた安藤を見かねて、主税が颯爽と助けに入るのだ。そして連日アルバイトに励み苦学生かと思われた別所が、実は大手ゼネコンの創業一族のお嬢様であることが判明する。これまで接点のなかった3人だが、家柄という共通点とそれぞれの不器用な本心が交差し、少しずつ距離を縮めていく。
彼女たちが直面している苦悩は切実だ。家柄や親の思惑が重くのしかかり、敷かれたレールから外れて自由な選択をすることなど許されない環境のなか、それぞれが自分らしい生き方を模索していく。また、別所がアルバイト先の先輩へのプレゼントに8万円のランプを選んでドン引きされるなど、一般人との金銭感覚のズレが生み出すコミカルな場面が描かれるのも魅力のひとつだ。
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極太な実家のお嬢様といっても、もちろん一人の人間であり、誰かの思い通りにできる物ではない。「家」と「自分」との間で揺れながら自らの道を選び取ろうと奮闘する3人の姿は、読み手にとっては異次元の悩みかもしれないが、思わず共感してしまうパワーに満ちている。果たして3人はどんな未来を選んでいくのか。目が離せない。
文=ゆくり
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