
『女の園の星』(和山やま/祥伝社)は、女子校を舞台に、生徒たちに振り回される教師の日常を描いた学園コメディだ。事件らしい事件はほとんど起こらない。それなのに、ページをめくるたびに思わず吹き出してしまう、そんな絶妙な間と独特の空気で、2022年にはアニメ化もされた人気作品である。
主人公は、とある女子校の2年生の担任・星。真面目で穏やかな国語教師だが、自由奔放な生徒たちに毎日のように翻弄されている。学級日誌で始まる絵しりとりや、教室で飼う犬の世話、漫画家志望の生徒からの相談、そして個性豊かな同僚の教師との何気ないやり取り。どれも学校ではよくありそうな出来事なのに、作者・和山やま氏ならではの絶妙なテンポと間によって、思いもよらない笑いへと変わっていくのである。
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極端に誇張したり、ブラックなネタを盛り込んだり、派手なギャグを連発したりしないのに笑えるところに本作の妙がある。星は教師としてひとつひとつの事に対してただ真面目に対応しているだけなのに、生徒たちとの会話と少しずつズレていき、それが積み重なっていくことでじわじわとした笑いが生み出されていく。思わず声を出して笑ってしまう場面もあれば、「こんな先生、本当にいそう」と親しみを覚えるようなエピソードも多い。そんな「現実にもありそう」と思わせる絶妙な距離が、本作にしかない面白さにつながっているのだ。
さらに、笑いだけでは終わらないのも和山氏らしい魅力だ。自由奔放に見える生徒たちも、それぞれに個性や優しさを持っており、教師である星も、決してただからかわれるだけの堅物な先生ではない。だから交わされる何気ない会話や出来事に、愛おしさも感じられるのだ。
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2026年9月8日に第5巻が発売に。星と生徒たちの日常がどのように描かれるのか気になるが、きっとこの独特な雰囲気は変わることなく、大きな事件も劇的な展開も起こらないだろう。それでも読み終えたあとには、星たちの日常をまだまだ見たくなってしまうはずだ。
文=益田聖良
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