
年齢を重ねると、髪を染めるのが当たり前。そんな空気に、息苦しさを感じたことはないだろうか。若い頃は「地毛でも何も言われなかった」のに、年を取ると「染めないのは変」と言われてしまう。けれど、自分の好きな髪色でいることに、年齢は関係ないはずだ。
『マダムが教えてくれたこと』(ユニカ/KADOKAWA)は、喫茶店で働く女子大生と、店に通う気品あふれるマダムの交流を描くコミックエッセイ。女子大生はマダムの何気ない言葉やふるまいに触れながら、自分の世界を広げていく。
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ある時、女子大生は、ほんのちょっと髪を染めた。するとマダムはすぐに気づき、褒めてくれた。店の規則で派手な色にはできず、控えめな変化だったにもかかわらず、ちゃんと気づいてくれたのだ。
その一方で、マダムは自身の髪について愚痴をこぼす。若い頃は地毛でも何も言われなかったのに、年を取ったら「染めないのは変」だなんて言われる。「勘違いされて困っちゃう 私の好きな色は『白』なんだから!」光を受けたその白い髪は、とても美しい。マダムは年を取ったから仕方なく白髪でいるのではない。自分の好きな色として、白を選んでいるのだ。
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その言葉は、主人公の中に強く残る。白髪と聞くと、年齢とともに増えていくもの、できれば隠したほうがいいもの、と考えてしまいがちだ。けれど、マダムにとっての白は、仕方なく受け入れている色ではなく、自分を彩るお気に入りの色なのだ。髪そのものは何も変わらないのに、そう聞いた途端、その白さまでいっそう魅力的に見えてくる。周りから「直したほうがいい」と言われるものでも、自分が気に入っているのなら、欠点である必要はない。年齢を重ねることさえ、自分らしく楽しんでしまうマダムの姿が、なんともカッコいい。
文=アサトーミナミ
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