
2026年7月22日に第5巻が発売された『オタクも恋も連鎖する』(天色ちゆ/スクウェア・エニックス)は、日々推し活に勤しむ、いわゆるオタクの生態を描いたラブコメディ。美男美女が集う学園を舞台に繰り広げられるのは、眩しすぎる恋愛模様……ではなく、推しカップリングの尊さに悶絶し涙を流すほど推しにハマった高校生の、欲望に忠実すぎる日常である。
主人公の音成和汰琉(おとなりわたる)は、誰もが見惚れる抜群のビジュアルの持ち主。しかし中身は筋金入りのオタク男子で、彼が高校生活のすべてを捧げているのは、隣の席の美少女・栫結鶴(かこいゆづる)と、学園屈指のイケメン・河合千将(かわいちひろ)のカップルの推し活だ。ふたりが並んでいるだけで「神の造形に感謝」と拝み、尊すぎるやり取りを目撃しては大興奮していた。
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さらに面白さはそんな音成の奇行(?)にとどまらない。一見するとスパダリな河合と、可憐なヒロインに見える栫の関係には、周囲に隠している「ある秘密」が存在していた。ふたりきりになった瞬間に主導権を握るのは、なんと栫の方だった。甘えるイケメンと、サド気質で攻める美少女という、ギャップ萌えにもたまらない姿を目の当たりにした音成のオタク心は限界突破するのである。
さらに物語を加速させるのが、オタクの「連鎖」だ。音成を密かに推している同級生・遠巻真白(とおまきましろ)をはじめとしたさまざまなオタクたちが登場し、完璧な美男美女たちが、それぞれの解釈や推しカプをめぐり、本気で一喜一憂する姿がクセになる。誰かが推し活に情熱を燃やせば、それに触発された別のオタクも感情を爆発させる。この熱量の伝染が本作の醍醐味だ。
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甘酸っぱい恋愛のときめきと、推し活特有のハイテンションぶりが絶妙なバランスで融合した本作。登場人物たちの圧倒的なビジュアルと、全力で推し活する姿に笑っていると、気づけば彼ら全員の推しになっているはずだ。
文=坪谷佳保
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