
「我が子のためなら、なんでもしてあげたい」この気持ちは、親として自然なものだろう。しかし、その愛情ゆえの行動が、いつの間にか子どもを苦しめる“呪縛”に変わってしまうとしたら……。
『勝たないと意味がないでしょ? ~全部あなたのため・母の呪縛~(幸せの裏側シリーズ)』(みほはは/KADOKAWA)は、息子のスイミングのサポートに全力を注ぐ専業主婦・可奈の物語だ。スクール内で選抜された「選手コース」で、息子の想太がトップになったことをきっかけに、可奈の情熱は次第にエスカレート。やがて想太の心を少しずつ蝕んでいく。そして可奈は、「息子のため」と信じて疑わなかった行動が「全て自分のためだった」という現実に直面する。
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子どもを信じて任せることと、親として全力でサポートすることのバランス。そして、ママ友との軋轢、夫婦のすれ違い。自身の体験から着想を得ながら、現代家族の悩みを描いた本作について、著者のみほははさんに話を伺った。
――本作の主人公である可奈は、子育てだけでなく、夫との関係にも悩まされています。みほははさん自身、過去にはどんな夫婦の悩みがありましたか?
みほははさん(以下、みほはは):今も悩んではいるのですが、夫婦として互いの考えを最初に共有しておけばよかったな、と思っています。上の子が生まれるとき、私は切迫早産になり、仕事を辞めて安静に過ごすことになりました。そこから、私は専業主婦、夫は働くという生活が始まりました。
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夫は1円でも多く稼げるように一生懸命働いてくれていましたが、当時の私は1秒でも早く帰ってきてほしかった。その認識の差が埋まらないまま過ごしていたんです。
――そのようなすれ違い期間を経て、現在は夫婦間でどんなことを意識しているのでしょうか?
みほはは:とにかく伝えることと、同じ認識を持つことでしょうか。例えば、コロナ禍で夫が在宅ワークをするようになってから、夫は、自分が部分的にしか子育てをしていなかったことに気づいたみたいで。その後、私も絵の仕事をするようになったので、「一緒に働いて、一緒に家事をしないと共倒れしちゃうよね」という共通認識が生まれました。
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日常では「私の『大丈夫』という言葉は信用しないで」と事前に伝えています。私がどんなに真っ青な顔をしていても、彼は「本人が大丈夫と言ってたし」と完結してしまう人なので。たまにケンカはしますが、夫は寛大に受け入れてくれるのでとても助かりますね。
取材・文=松本温美
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