
「我が子のためなら、なんでもしてあげたい」この気持ちは、親として自然なものだろう。しかし、その愛情ゆえの行動が、いつの間にか子どもを苦しめる“呪縛”に変わってしまうとしたら……。
『勝たないと意味がないでしょ? ~全部あなたのため・母の呪縛~(幸せの裏側シリーズ)』(みほはは/KADOKAWA)は、息子のスイミングのサポートに全力を注ぐ専業主婦・可奈の物語だ。スクール内で選抜された「選手コース」で、息子の想太がトップになったことをきっかけに、可奈の情熱は次第にエスカレート。やがて想太の心を少しずつ蝕んでいく。そして可奈は、「息子のため」と信じて疑わなかった行動が「全て自分のためだった」という現実に直面する。
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子どもを信じて任せることと、親として全力でサポートすることのバランス。そして、ママ友との軋轢、夫婦のすれ違い。自身の体験から着想を得ながら、現代家族の悩みを描いた本作について、著者のみほははさんに話を伺った。
――本作では、母親側だけでなく息子側の思いが切々と描かれている点がとても印象に残っています。著者として、作中でとくに心に残っているシーンはありますか?
みほははさん(以下、みほはは):息子の想太が悪夢を見ているシーンです。泳いでいたプールの水が泥に変わり、想太は苦しくてお母さんである可奈に助けを求める。でも、可奈は笑いながら「頑張れー!」と励ましている。
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想太の鬱々とした感情をどのように表現しようか悩んでいたので、編集さんに泥の描写を提案いただいたときに「こんな表現があるんだ!」と衝撃を受けました。自分では思い浮かばない手法だったので、すごく興味深く描けました。
――主人公の可奈の姿を通して、母と子のかかわり方について考えさせられるシーンも多いですよね。みほははさんは、お子さんの気持ちを尊重するために意識していることはありますか?
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みほはは:子どもには常に「好きなことをやっていいから、自分で決めなさい」と言っています。やはり、上の子をスイミングで追い詰めてしまった過去があるので…。もちろんその過去が消えるわけではありませんが「お金と送迎は一生懸命するけど、お母さんも好きなことをしているから自分で決めてね」と。
きっと、好きであれば頑張れるじゃないですか。だから、中学校に進むときも私の意見はさておき、本人に選んでもらいました。だいたいのことは託していますし、なんとかなるだろうと思うようになりましたね。
取材・文=松本温美
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