
「我が子のためなら、なんでもしてあげたい」この気持ちは、親として自然なものだろう。しかし、その愛情ゆえの行動が、いつの間にか子どもを苦しめる“呪縛”に変わってしまうとしたら……。
『勝たないと意味がないでしょ? ~全部あなたのため・母の呪縛~(幸せの裏側シリーズ)』(みほはは/KADOKAWA)は、息子のスイミングのサポートに全力を注ぐ専業主婦・可奈の物語だ。スクール内で選抜された「選手コース」で、息子の想太がトップになったことをきっかけに、可奈の情熱は次第にエスカレート。やがて想太の心を少しずつ蝕んでいく。そして可奈は、「息子のため」と信じて疑わなかった行動が「全て自分のためだった」という現実に直面する。
続きを読む
子どもを信じて任せることと、親として全力でサポートすることのバランス。そして、ママ友との軋轢、夫婦のすれ違い。自身の体験から着想を得ながら、現代家族の悩みを描いた本作について、著者のみほははさんに話を伺った。
――世間では母親同士の繋がり、いわゆるママ友との付き合い方で悩む方も多くいます。本作でもママ友や習い事の先輩ママなど、母親同士の付き合いが描かれていました。多くの方が、ママ友との関係で悩んでしまうのはなぜだと思いますか?
続きを読む
みほははさん(以下、みほはは):これは私の場合ですが、「この人に嫌われないようにしないと」という気持ちが先行していたからだと思います。そこの世界が自分のすべてだと思っていたので…。
我が子のスイミング歴のはじまりも、ママ友からの影響だったんです。当時、ママ友から「スイミング一緒にやらない?」と誘われ、お付き合いもあったため息子にノーを言わせないような声かけをして突き進んでしまいました。
続きを読む
――ママ友との関係に悩む方は、どんな心持ちで過ごすと少しでも心が軽くなるでしょうか?
みほはは:「ママ友」という言葉によって、多くの方は勘違いしてしまいがちですが、「ママ友」は友達じゃない、と考えるといいと思います。私自身、子どもがスイミングスクールを変えると同時に、前のスクールのママ友との関係も終わりました。本当の友達だったら、スクールが変わっても関係が続きますよね。
もともと通っていたスイミングスクールで私は、必死でママ友の輪に入り、悪口を言われないようにしていた。居場所を作らないとすべてがダメになってしまう気がしていたんです。無理に笑って、ママ友が求めているような言葉をかけて、胃が痛くなっていました。「どう見られるか?」に囚われてばかりで、本当の人間関係を築けていなかったと思います。
取材・文=松本温美
記事一覧に戻る