
本日も不条理まみれの現代社会で働いているあなた、本当にお疲れ様である。突然だが、今朝のあなたの体温は何度だっただろうか。
「起き上がれないほど体が重い」と思って測った体温が、見事な平熱だったとき。あるいは金曜の夜22時に届く「月曜朝までにご対応をお願いします」のメールを見た瞬間。そんな働く大人の心をじわじわ削る理不尽に覚えがある人へ、ぜひ手に取ってほしい一冊がある。コミック『くたくま 自分の心を守るための、くまたちのささやかな反抗』(KADOKAWA)だ。

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本書は、社会に元気を届けるエナジードリンクを売る会社で働く2匹のくまたちの日常を描いたキャラクターコミック。しかし、その中身は驚くほどリアルな「働く大人」のサバイバルである。


主人公は、責任感が強すぎて毎日うっすら体調が悪い営業職の「くたくま」と、パワハラ上司の説教を軽やかに受け流す総務・広報担当の「うるるん」。安月給に悩み、新卒のほうが給料が高い現実に打ちのめされ、夜中には過去の失敗を思い出して布団の中で悶絶する。ページをめくるたび、「これ、自分のことでは?」と苦笑してしまう場面が続く。
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それでも本作が単なる「社畜あるある」で終わらないのは、うるるんの容赦ない毒っ気と、くまたちの「ささやかな反抗」があるからだ。PCに「うるせえよ」と打ち込んでから自動変換で「申し訳ございません」に直したり、嫌味を言われたら笑顔で「もう一回言ってルン?」と聞き返したり。真正面から戦うのではなく、自分の心だけは守り抜こうとする姿がなんとも痛快だ。
さらに印象的なのが後半の演出だ。それまでのイラスト世界から一転、実写オフィスを背景にした3D空間へと切り替わり、作品はぐっと不穏な空気をまとい始める。そのリアルなオフィスで、理不尽な仕事を押し付けられたくたくまが、上司のキーボードにエナジードリンクを注ぎ込み、「これでよしっ! これでかいけつクマ」と満足げに頷く。そのシュールさには不覚にも笑わされてしまう。
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生きることにも働くことにも少し不器用なくまたちだが、「自分がいなくても仕事はまわるから、気にせず休むクマ!」と、自分を追い込みすぎない選択を重ねていく。週休3日を願い、あと5億円ほしいと本気でぼやく姿を見ているうちに、「そんなに真面目になりすぎなくてもいいのかもしれない」と肩の力が抜けてくる。
平日の深夜、「明日も会社か……」とため息をつきながらスマホを眺めている人にこそ読んでほしい一冊だ。理不尽な社会を変えることはできなくても、その理不尽に飲み込まれずに笑う方法なら、このくまたちはちゃんと知っている。
文=西狸
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