
『疲れた人に夜食を届ける出前店』(中山有香里/KADOKAWA)は、疲れた心と体に、温かい夜食と、優しい言葉を届けてくれるコミックエッセイだ。「第9回料理レシピ本大賞コミック賞」を受賞した『泣きたい夜の甘味処』のシリーズであり、本作も「第10回料理レシピ本大賞コミック賞」を受賞した人気の作品である。シリーズから届けられる優しさが、多くの読み手を癒やし続けている。
本作の物語の舞台は、とある町の片隅にある夜食の出前店。店主のクマをはじめ、サケ、ゴリラ、ネコ、そして巻を重ねるごとに加わる仲間たちが、仕事や人間関係に疲れた人間のもとへできたての夜食を届ける。お茶漬けやグラタン、うどんなど、どれも特別なごちそうではない。しかし誰かが自分のために用意してくれた温かな料理は、心を優しくほぐしてくれる。
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疲れている人、思い詰めている人に必要なのは、ただ「頑張れ」という、ちょっと無理をさせるような言葉ではなく、「もう今日は何もしなくていい」「ちゃんと休もう」といった言葉による安心感なのかもしれない。登場人物たちはありきたりの励ましの言葉などはかけようとはせず、ただ温かい料理を届け、相手の心にそっと寄り添っていく。その優しさが、読み手の心にも染み込んでくるだろう。
また、コミックエッセイとして楽しめるだけでなく、登場する夜食レシピの紹介も本作の大きな魅力だ。えび天うどん、炊き込みご飯、ベーグルなど、どれも身近な材料で作れるものばかりで、このレシピを見て料理を作る時間も癒やしの時間となるに違いない。
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疲れた日は、無理に頑張らなくてもいい。温かいご飯を食べて、少し眠って明日を迎えればいい。本作は、そんな当たり前だけど忘れがちなことを優しく思い出させてくれるはずだ。毎日を懸命に生きるすべての人へ届けたいシリーズである。
文=ソルティ・タムラ
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