
学生時代の人間関係は、卒業すれば過去になるとは限らない。人に嫌われないよう顔色をうかがい、頼まれごとを断れず、いつも自分を後回しにする。そんな生きづらさの根っこに、高校時代のいじめがあったことを描いたのが、『あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで』(もつお/KADOKAWA)だ。
主人公のユイは、職場で仕事を押しつけられても断れず、「孤立するくらいなら少しくらい我慢した方がまし」と自分に言い聞かせて生きてきた女性だ。そんなある日、高校の同窓会の知らせが届くが、胸に浮かぶ思い出は青春のキラキラしたものではなかった。友人に誘われ、断れないまま参加すると、会場で映し出された体育祭のスライド写真に自分の姿だけがないことに気づく。理由は、当時クラスメイトたちから無視されていたからだった。
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物語は女子校へ入学した時にさかのぼる。親友と違うクラスになってしまったユイは入学から1週間ほど教室でひとりだった。しかしあるきっかけで、すでにクラスの中心にいた隣の席のミレイに声をかけられ、いわゆるカースト上位グループの一員になる。憧れのグループに入り楽しい高校生活を期待するが、ある日、仲間のひとりが些細なことからミレイに目をつけられて仲間はずれになる。しかしミレイの気に障る態度を取ったばかりに、ユイが次の標的になってしまった。からかいや無視、SNSでの悪口が続き、このグループが世界のすべてだったユイは居場所がなくなってしまうのだった。
しかし本作はそんなユイの苦しみだけではなく、その場を支配するミレイが他人を傷つける行動をする背景も描かれる。もちろん誰かを傷つけ陥れることは許される行為ではないが、加害側が抱えてしまった歪みの理由を明らかにし、単純に善悪で判断できない人間関係の複雑さも浮き彫りにしている。
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高校時代の経験はユイの人生に大きな影を落としたが、その「呪い」を受け入れながらユイは前を向いて歩き出していく。その姿に勇気をもらえる人は多いだろう。ぜひ最後までこの物語を見届けてほしい。
文=坪谷佳保
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