
ユイの妹・リカは、幼いころから容姿をほめられ、ちやほやされてきた。次第に「自分は姉よりかわいくて、価値のある存在だ」と考えるようになる。そしてユイのものを横取りするなど、なにかと姉に嫌がらせをするように。リカの言動はどんどんエスカレートし、ついには姉の彼氏にもちょっかいをかけ始めて……。
そんな姉妹の物語である『なんでも横取りする妹が嫌い』(しろみ/KADOKAWA)は、著者・しろみさんによるとほぼ実話だというから驚く。友人のユイさんから話を聞いて本作を描いたしろみさんは、リカさんとも実際に会って話を聞いたとのこと。姉に対して嫌がらせの数々をしていたリカさんは当時何を考えていたのか? 作品に込めた思いからエピソードの裏話まで、さまざまなお話を伺った。
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――妹・リカの略奪対象が、姉から「不倫という第三者」へと広がったことで、大きなトラブルに発展していきます。対象が広がっていったのはなぜだと思いますか?
しろみさん(以下、しろみ):これについては、あくまでも私自身の考えになりますが、対象が変わったというよりも「心の満たされなさ」の向かう先が変わったのではないかと思っています。幼い頃は、一番身近な存在であるユイさんが比較対象だったため「勝ちたい」という気持ちが強かった。しかし大人になるにつれて生活環境や人間関係が変わり、ユイさんだけではなくさまざまな人と関わるようになります。そうした中で、「誰かより自分が選ばれたい」「一番でいたい」という気持ちが恋愛という形で表れるようになってしまったのではないかなと。
――どちらも「認められたい」「一番でいたい」という思いからきていると。
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しろみ:そうですね、あくまで私の考えですが、幼い頃から抱えていた「誰かよりも自分を選んでほしい」「自分が一番でいたい」という気持ちは、大人になっても心のどこかに残り続けていたのではないかと。もちろんその気持ちがあったからといって、不倫や人を傷つける行動が許されるわけではありません。最終的にどのような行動を選ぶかは本人の責任です。ただ、私は「なぜその行動に至ったのか」という背景を知ることと、「その行動を正当化すること」はまったく別だと考えています。そのため、この作品でも、行動の背景に目を向けながらも、起きた出来事は事実として描かせていただきました。
――本作で描かれているリカの場合、“不倫は良くないこと”という意識がまったくないのも印象的です。
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しろみ:実際のリカさんもそうだったようです。私が取材を通して感じたのは、リカさんは「不倫だからいけない」よりも、「自分が選ばれた」「自分が一番になれた」という気持ちのほうが強くなってしまっていたのではないか、ということです。人は強い感情に支配されてしまうと、本来であればブレーキになるはずのものが見えなくなってしまうことがあります。リカさんも当時は、自分の欲求や感情を優先するあまり、その先で傷つく人たちのことまで考える余裕がなくなってしまっていたのかもしれません。
取材・文=原智香
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