
ユイの妹・リカは、幼いころから容姿をほめられ、ちやほやされてきた。次第に「自分は姉よりかわいくて、価値のある存在だ」と考えるようになる。そしてユイのものを横取りするなど、なにかと姉に嫌がらせをするように。リカの言動はどんどんエスカレートし、ついには姉の彼氏にもちょっかいをかけ始めて……。
そんな姉妹の物語である『なんでも横取りする妹が嫌い』(しろみ/KADOKAWA)は、著者・しろみさんによるとほぼ実話だというから驚く。友人のユイさんから話を聞いて本作を描いたしろみさんは、リカさんとも実際に会って話を聞いたとのこと。姉に対して嫌がらせの数々をしていたリカさんは当時何を考えていたのか? 作品に込めた思いからエピソードの裏話まで、さまざまなお話を伺った。
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――作中のエピソードはほぼ実話とのこと。さらに、姉のユイさんの計らいで妹のリカさん本人ともお話しされたそうですね。リカさんは過去の自分の行動を振り返ってどう感じていたのでしょうか?
しろみさん(以下、しろみ):リカさんご本人は、「あの頃は何かに取りつかれたように、お姉ちゃんに勝ちたい、周りの人にも勝ちたい、自分が一番じゃないと気が済まない、自分を一番大切にしてほしいという気持ちで頭がいっぱいでした」と話してくださいました。
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心のどこかでは「こんなことをしていていいのかな」と思う瞬間もあったようなのですが、衝動を抑えることができず、とんでもないことをしてしまったと。当時の自分を冷静に振り返り、率直な気持ちを話してくださったことが、この作品を描く上でもとても大きな出来事でした。
――作中、リカがユイの誕生日プレゼントの指輪をわざと絨毯の下に隠し、踏ませようとする場面があります。小学生とは思えないほど計算された行動ですが、なぜここまで悪知恵が働くようになったのだと思いますか?
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しろみ:ここからは私の予想なのですが、小学生でも驚くほど頭の回転が速い子はいますよね。そうした子の中には、自分の気持ちや居場所を守るために「どうすれば注目してもらえるか」「もっと大切にしてもらえるか」を日頃から考えているのではないかと思います。その結果が、リカのような行動につながることもあるのではないでしょうか。実は私自身も、母の教育が厳しくて幼い頃から先回りして物事を考えるタイプでした。もちろん、私とリカさんは別の人ですし、事情も違います。ただ、そうした経験があるからこそ、リカさんも本人すら気づいていない何かを抱えていたのではないか、と感じています。
――作中では、母親はリカをしっかり叱っています。それでも行動が改善されなかったのはなぜだと思いますか?
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しろみ:このエピソードも実際に起きたことをベースにしていますが、当時のリカさんの心情については私の想像です。ただ、リカさんは叱られた事実以上に複雑な気持ちを抱えていたのではないかと思います。例えばこのケースであれば「お姉ちゃんのなんだからお姉ちゃんに返しなさい」と言われる場面が描かれていますが、実際にはユイさんも同じくらい「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われてきたとは思うんです。ただ、幼い子どもはどうしても自分が怒られた場面を強く記憶します。周囲としては平等に接していたつもりでも「お姉ちゃんばかりひいきされている」と感じてしまうこともあるのだと思います。モデルとなったリカさんにもそうした寂しさや満たされない気持ちが積み重なっていったのかもしれません。だからこそ、リカさんに必要だったのは、叱ることだけではなく、「あなたのことも大切に思っているよ」と感じられるような関わりだったのではないかと私は考えています。
取材・文=原智香
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