ダ・ヴィンチWeb

仕事が数年振りに一区切りつき、休暇を貰い1カ月ほどパリで過ごした。滞在中に読み耽っていた小説が『BUTTER』(柚木麻子/河出書房新社)である。


引用----


「バター醤油ご飯を作りなさい」『BUTTER』(柚木麻子/河出書房新社)より


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その女は、初めて対面する主人公に唐突な司令を下した。


バター醤油ご飯といえば、人前で「バター醤油ご飯が好きです」と口にするのも憚られる、罪の味という印象がある。本当は誰にも言いたくないのだが、私は幼い頃から、この組み合わせでご飯をカッ喰らうことにいちばん幸福を感じてきた。あまりにも馴染みある、料理とも言えない単純な工程。大人になった今でも誰かに怒られる気がして、背徳感を滲ませながらも、女の耽美な語り口に食欲が煽られてたまらない。


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