
桜を見ると、きれいだと思う一方で、ふと寂しさを感じることがある。満開の時期は短く、気づけば花びらは散っていく。そのはかなさが桜の魅力でもあるけれど、花の盛りが一瞬ですぎてしまうことは悲しい。年齢を重ねるほど、そんな桜の姿に、自分の身を重ねそうになる。過ぎていく時間の早さのほうが気になってしまうのだ。
だが、年を取ることは寂しいことだろうか。いや、そんなはずはない。『マダムたちのルームシェア』(seko koseko/KADOKAWA)は、年齢を重ねた3人のマダムが、日々の暮らしを味わいながら生きるコミックエッセイ。栞、沙苗、晴子は、少し疲れた日も、季節の美しさや友人との時間を大切にしながら、自分たちらしく過ごしている。
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特に、桜を眺めながら語られる言葉には、これからの人生を前向きに楽しむためのヒントが詰まっている。ある時、仕事で疲れ切って帰宅したはずの栞は、桜が見頃だと聞くと、「桜と人には会いたい時に会いに行くのよ」と、すぐに散歩に出かけようとし、沙苗、晴子もそれについていく。お団子を片手に、3人で近所を歩く夜桜散歩。若い頃と変わらず、思い立ったらすぐ出かけられる関係がなんとも素敵だ。
夜の桜を見ながら、晴子は「夜の桜ってきれいだけど少し寂しく感じるわ」と語り、栞も「花の散り際を人生の終わりにたとえることがあるけど、いつか私も自分の姿を重ねたりするのかしら」とぽつり。すると、沙苗は、「じゃあ今から生き終わるまでは花盛りってことね」とそれをポジティブに捉えるのだ。「生き終わるまでは花盛り」だなんて、なんていい言葉なんだろう。そんなふうに考えられたら、年齢を重ねることはちっとも怖くない。
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マダムたちの日々は、毎日が満開の花のよう。特別なことばかりが起こるわけではないけれど、会いたい人に会い、見たい景色を見に行き、今を楽しむ。その姿は、どんな花よりも晴れやかで、まぶしい。読み終えるころには、これから重ねていく時間まで何だか楽しみに思えてくる一作だ。
文=アサトーミナミ
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