※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年8月号からの転載です。

最高の批評は、自分で映画を撮ることだ――その言葉を実践した監督たちによるムーヴメント、ヌーヴェルヴァーグ〈新しい波〉。従来の映画的文法に縛られない彼らのユニークな作品群の象徴といえるのが、ジャン=リュック・ゴダールの長編監督デビュー作『勝手にしやがれ』だ。世界中の映画人に影響を与え続ける金字塔は、いかにして誕生したのか。その刺激的な制作過程を、「ビフォア」シリーズの名匠が刻みつけた。
ヌーヴェルヴァーグとの出合いが「人生を変えた」という監督が目指したのは、『勝手にしやがれ』を別の角度からみること。そして1959年にカメラをもって飛び込み、時代、人々、空気を再現し「ヌーヴェルヴァーグの連中と一緒に」過ごすこと。まだ何者でもなかった28歳のゴダール、26歳のジャン=ポール・ベルモンド、20歳のジーン・セバーグら若者が映画づくりの夢と情熱を共有した、パリの現場へといざなってゆく。
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自由な発想によるゲリラ撮影や即興演出、のちに伝説となるクライマックスとラストシーン。そのエピソードひとつひとつに、冒頭からワクワクが止まらない。またVFXをも投入し甦らせたノスタルジックな街並みから、三人三様にチャーミングなキャストのアンサンブル、小粋な衣装、モノクロームの映像まで全てが眼福の極みだ。何より強調したいのは、これはヌーヴェルヴァーグへの愛が出発点となり、その魅力を余すことなく伝える映画ながら、会話劇の魅力にみち瑞々しい輝きを放つ、リンクレイター作品そのものであること。何かに熱中する喜び、ものづくりの尊さを謳う至福の青春群像劇だ。
文:柴田メグミ
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しばた・めぐみ●フリーランスライター。『韓国TVドラマガイド』『MYOJO』『CINEMA
SQUARE』などの雑誌のほか、映画情報サイト「シネマトゥデイ」にも寄稿。韓国料理、アジアンビューティに目がない。
『ヌーヴェルヴァーグ』
監督:リチャード・リンクレイター 出演:ギヨーム・マルベック、ゾーイ・ドゥイッチ、オーブリー・デュラン 2025年フランス 106分 配給:AMGエンタテインメント 7月10日より新宿ピカデリーほか全国公開
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●フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』がカンヌを沸かせた1959年。その夏、トリュフォーらとともに映画誌に寄稿していたゴダールは、念願の初長編に着手する。だが型破りな彼のやり方に、プロデューサーらは戸惑いを隠せない……。7月10日公開
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