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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹 / 新潮社


ご存じのとおり、村上春樹氏の小説は描写が細やかである。なので、過去に読んだ著者の小説を思い出そうとすると、ラストシーンよりも先に場面ごとの描写がひとつずつ思い浮かんでくることが多い。たとえば、著者の作品によく登場するレコードを聴くシーンや、料理をつくる場面などだ。


『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社)で真っ先に思い出したのは、〈ハードボイルド・ワンダーランド〉サイドの主人公である〈私〉が〈やみくろ〉の巣窟に潜りこむ冒険のシーンだった。冒険の場面は全体で180ページほどあり、これは小説上下巻の1/4ほどにも及ぶ。きっと当時30代半ばだった著者が、自分自身ものめり込みながら描いたのではないかと想像している。


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