
SNSに投稿される、きれいな部屋、おしゃれなランチ、笑顔の家族写真。スマホの画面越しに見える暮らしに憧れを抱く人は多いだろう。『いいね依存の承認モンスター ワタシは勝ち組ママ』(犬野ぽよ彦/KADOKAWA)は、SNSでもらえる「いいね」にとらわれた母親が、現実の家族や子育てを蔑ろにしてしまったことで、追い詰められていく物語だ。
主人公のレイカは、SNSフォロワー数2万を抱える人気の「キラキラママ」。充実した暮らしを発信して多くの人の憧れを集めているが、実はその華やかな生活の裏では育児を夫に任せることも多く、「映え」投稿を優先する毎日を送っていた。そんなある日、ママ友の「子どもの評価は親の評価と同じ」という言葉を聞き、レイカは娘を習い事へ通わせ始める。
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ところが、いざ教室へ連れていくと娘は大泣きし、思うように習い事が進まない。それでもレイカの頭にあるのは娘の気持ちではなく、SNSに投稿する写真や「いいね」の数ばかりだった。だが教室の帰り道に偶然会ったママ友から「家族の合意の上で決めたんだよね?」「SNSのためじゃないよね?」と、見て見ぬふりをしていたところを突かれてしまう。
それでも承認欲求を満たすことばかりを考えるレイカの陰で育児をひとりで抱えていた夫は、ある日に娘を保育園へ迎えに行くと、担任から発達に不安があると告げられる。その話をレイカにするも「周りに変な目で見られる」「発達障害ならキラキラママじゃなくなる」と発達相談を受けることを拒んでしまう。SNS評価優先の生活によって夫婦の価値観がズレていき、そして家族の形が少しずつ崩れていくのだった――。
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SNSは自己表現ができる場として便利なツールだ。しかし評価を追い求めるあまり、大切にすべき人の気持ちを考えずに得た「いいね」には何の価値もない。本書は肥大化する承認欲求の怖さを描きながら、そこからレイカが自分と家族と向き合い直すまでを描いている。崩れかけた家族の中で彼女はどんな答えを見つけるのか。最後まで見届けてほしい。
文=つぼ子
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