
赤ちゃんと初めてふたりきりで過ごす時間は、親にとってかなりドキドキするものだ。泣いたらどうしよう。ミルクは足りているのだろうか。泣いているのは、どこかが痛いからなのか、それとも眠いだけなのか。まだ言葉で訴えられない赤ちゃんを前にすると、大人は小さな表情やしぐさから必死に気持ちを読み取ろうとする。
『赤ちゃんに転生した話』(茶々京色/KADOKAWA)は、赤ちゃんのエミ本人の視点から成長を描く奮闘コメディ。ブラック企業に勤めていた男性から転生したエミには前世の知識がある。だが、知識があっても身体は赤ちゃん。言葉も話せず、思うように動けないうえ、自分の体に起きている異変にすら気づけないことがある。だからこそ、そばにいる大人のまなざしが頼りになるのだ。
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ママが外出し、エミと初めてふたりきりの時間を過ごすパパ。ミルクを飲ませ、爪を確認し、なんとか世話をこなそうとするパパ。ところが、その最中、パパはエミの指先の異変に気づく。受診を迷った時の#8000に電話するが、受付時間外でつながらない。緊急ではなさそうだが、迷ったら受診すべきだとパパはエミを連れて小児科へ急ぐのだが……。
コミカルな作風ながら、赤ちゃんに迫る身近な危険を自然に知れるのが本作の魅力だ。指先の小さな異変に、読んでいるこちらまでハラハラしてしまう。けれど同時に、パパが「大丈夫だろう」で済ませず、受診を選んだことにはホッとさせられる。これは、どの赤ちゃんにも起こりうる危機に違いない。赤ちゃん本人が気づいている異変だけでなく、気づけないでいる異変も、大人はちゃんと見つけなければならない。その怖さと責任の重さがじわりと伝わってくる。初めての留守番で戸惑いながらも、必死にエミを守ろうとするパパの姿が胸に残る。親もまた、こうやって不安になりながら少しずつ親として成長していくのだと改めて感じさせられる作品だ。
文=アサトーミナミ
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