
多忙な毎日を送る大人にとって、お風呂は癒しの時間だ。では、大人の意識を持ったまま赤ちゃんに転生し、初めての沐浴を体験したらどうなるのだろうか。小さな体にとっては、お湯の温かさも、体を支えられる感覚も、すべてが初めて。きっと至福のひとときとなるはずだが……。
『赤ちゃんに転生した話』(茶々京色/KADOKAWA)は、ブラック企業で働いていた男性が、赤ちゃんに転生する成長コメディ。「前世の記憶があるなら、赤ちゃんになっても楽勝」と思いきや、赤ちゃんの身体では、目もよく見えず、手足も思い通りに動かない。そんな不自由な赤ちゃんライフが、赤ちゃん視点で描かれていく。
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たとえば、初めての沐浴は、お湯に入る前から刺激的だ。おっぱいを与えられ、少し強く背中を叩かれてゲップをさせられ、かと思えば、「お湯が汚れないように」といきなり冷たいお尻拭きでお尻を拭かれる。赤ちゃんはまだ目もよく見えず、次に何が来るか分かっていない。そんな状態で次々とケアを受けるのだから、困惑するのも無理はないだろう。だが、いざお湯の中へ入れば、その心地よさに赤ちゃんはすっかりご満悦。大人にとっての浴槽が、赤ちゃんには広いお風呂のように感じられるのも面白い。
ところが、幸せな時間は突然終わる。沐浴後、赤ちゃんを待っているのは、思いもよらない“謎のケア”で……。大人にとってはそれらは当たり前のお世話でしかないが、される側に回ってみれば、そのすべてが驚きと戸惑いに満ちている。赤ちゃんは、ただ気持ちよくお世話されているわけではない。小さな身体で初めての世界を受け止めていると言っても過言ではないだろう。そう思うと、沐浴という何気ない時間まで、赤ちゃんにとっての大冒険に見えてくる。そんな視点の反転に、笑いながらもさまざまなことに気づかせてくれる作品だ。
文=アサトーミナミ
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