
猫は、ただそこにいるだけでかわいい。そう思ってしまうのは人間の勝手な都合なのかもしれない。猫には猫の機嫌があり、プライドがあり、触られたくない場所もある。ましてや、その中身が元人間だったとしたら……。
『ブラック企業の社員が猫になって人生が変わった話(モフ田くんの場合)』(清水めりぃ/KADOKAWA)で描かれるのは、ある日突然、猫になった元社畜・モフ田くんの姿。猫になったモフ田くんは、会社のマスコットのように扱われながらも、どこか冷静に会社員を続けている。かわいい存在として注目される一方で、本人には本人なりの都合もプライドもある。そのギャップが、SNS映えを狙う社内広報の思惑とぶつかることで、さらなるコミカルな展開を生んでいく。
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思わず吹き出してしまうのは、広報担当がモフ田くんに「かわいい顔」を求める場面だ。猫なのだから、普通にしているだけで十分魅力的なはずなのに、人間はつい、もっと映える表情を求めてしまう。ところがモフ田くんは、なかなか期待通りの顔をしてくれない。ジトッとした目、気の抜けた顔、突然のキャラ変。次々と要求を重ねる広報担当に、「贅沢者が!」とモフ田くんが怒るのももっともだ。
さらに写真集まで作りたがる広報担当に対し、「お前は俺に求めすぎじゃないか?」とこぼすモフ田くん。だけど、広報担当から持ちかけられた思わぬ提案に、モフ田くんは……。
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かわいさは武器になる。けれど、かわいくあることを求められる側には、それなりの苦労もある。それでもやっぱり、人間は猫の写真をカメラにおさめずにはいられないんだよな……。モフ田くんには気の毒だけれど、広報担当の気持ちにもつい共感してしまった。
文=アサトーミナミ
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