
『いびってこない義母と義姉』(おつじ/一迅社)は、「嫁いびり」をテーマにした作品……ではなく、その先入観を心地よく裏切ってくれる、2026年7月よりアニメもスタートした話題のハートフルコメディである。怖そうな見た目の義母と義姉、そして名家という舞台設定から想像してしまう重苦しいイメージを心地よく裏切ってくれる作品だ。
主人公の美冶は、とある名家・鴻蔵家の庶子。母親を亡くしたことをきっかけに本家へ引き取られることになり、そこで義母や義姉との同居生活が始まる。「妾の子」ということで自分は疎まれ、冷たく扱われても仕方がない……そう覚悟していた美冶だったが、目の前に現れた威圧感たっぷりの義母と義姉は、想像とは真逆の人たちであった。
続きを読む
そう、ふたりは陰湿ないびりをしてきそうな雰囲気なのに、作品名の通り、いびってこないのである。むしろ義母と義姉は美冶を大切に思っているのだが、不器用すぎるがゆえに気持ちがうまく伝わらない。蔵に眠らされるのかと思えば、家長である父の書斎を与えられたり、テーブルマナーを知らないことを責められるかと思いきや、一口ずつ食べさせてもらったりと、不器用な優しさを見せる姿が絶妙な笑いを生み出し、読み進めるほどに登場人物たち全員が愛おしくなっていくのだ。コワモテなのに優しい、厳しそうなのに誰よりも思いやりがある――そんなギャップが本作の大きな魅力である。
2026年8月25日には第10巻が発売予定。最初は遠慮ばかりだった美冶が、少しずつ家族たちの温かさに触れ、自分の居場所を見つけていく姿には心が温まる。家族としての絆をさらに深めていく鴻蔵家の面々がまた見せてくれる「優しいギャップ」に期待してほしい。
続きを読む
血のつながりの有無にかかわらず、家族は仲が良いことが何よりである。本作はそんなことを優しさと笑いで再認識させてくれるはずだ。コワモテの義母や義姉が登場するほっこりストーリーにハマってしまうこと間違いなしである。
文=座美山佐須郎
記事一覧に戻る