常識をひっくり返すような作品を発信し続けるボディペイントアーティストのチョーヒカルさんが、またしてもとんでもない絵本を制作してくれた。白泉社から刊行された『DJうんち』である。文を担当したのは、独創的なワード選びでセンスの良さを感じさせるイラストレーター、しおひがりさん。本稿では、ユーモアの塊とも言えそうな2人の強力タッグから生まれた絵本の面白ポイントに迫ってみた。
【息子と読んでみた】読むと便通がよくなる⁉「うんちっ うんちっ」のリズムで夢中になる新感覚絵本『DJうんち』【レビュー】
思わず親も口ずさむ⁉ 「クラブうんち」でうんちっ うんちっ うんちっ うんちっ♪
ミラーボールが煌めく「クラブうんち」で、ザワつくみんなの前に現れたのは名物DJの「DJうんち」! 肌ツヤのいい黄金色で、ニカッと笑った白い歯にやんちゃっぽさと抜群のオーラが漂うなんともかっこいいDJだ。彼は「うんちっ うんちっ」のリズムに乗せて言葉を刻むという。
引用----
「うんちっ うんちっ うんちっ うんちっ
うんちっ うんちっ うんちっ うんちっ」
ドラム みたいな おとに きこえて きただろ?
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彼が言う通り「うんちっ うんちっ……」と声に出してリズムを刻むと、本当にドラムみたいな音に聴こえるからびっくり。小学4年の息子は挨拶代わりに「うんち」と言うほどのうんち好きだが、楽器のように響く「うんち」のビートに驚き、「ほんとだ!」と素直な喜びを口にしていた。
さてここから、DJうんちと筆者(母)、そして息子のコール&レスポンスが始まった。本書に書かれた言葉はすべて「うんちっ うんちっ うんちっ うんちっ!」のリズムで口に出すのが楽しく読むポイントだ。
小学生が早口言葉みたいなビートボックスに挑戦
引用----
とんかつ たんちき かつれつ たんちき
とんかつ たんちき かつれつ たんちき
とんかつ たんちき かつれつ たんちき
(トンカツ探知機 カツレツ探知機)
かった かつどんか つくった かつどん!
(買ったカツ丼か 作ったカツ丼!)
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本書ではすべてのページにユーモアが詰まっている。このページには、探知機らしきものを持ってトンカツとカツレツを探す豚さんと、「買ったカツ丼」と「作ったカツ丼」を豚さんに差し出すオオカミの姿が描かれていた。トンカツを探すのが“豚”本人ということや、そんな状況なのに緊張感のない“休日のお父さん”みたいな豚さんのギャップがたまらない。しかも、探し当てたカツは宿敵であるオオカミの手に握られているのだ。その恐怖感と切なさが後ろ姿からひしひしと伝わってくる……。
息子はこの早口言葉みたいな文をリズミカルに言おうと必死なのだが、なにしろ言葉が面白いので、隣にいる筆者は可愛さとおかしさのあまりプッと吹き出してしまう。「そうそう、お母さんが何も作りたくない日はスーパーのカツ丼になるよね」という“夕飯あるある”トークも弾んだ。
もっとテンポアップを!親子対決が炸裂
引用----
なんてん とった? とったてん なんてん?
なんてん とった? とったてん なんてん?
なんてん とった? とったてん なんてん?
(何点取った? 取った点何点?)
おかんが ガックシ ほとんど バッテン
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「何点取った? 取った点何点?」とテストの結果をしつこく聞いてくるニワトリのおかん。これ、私だ…と自分の姿を重ねるおかんもいるかもしれない。ニワトリの子はそんなおかんを見て冷や汗をかいている。テストの結果が良くないのもあるだろうが、おかしなポーズで迫ってくるおかんを見て「大丈夫か、うちのおかん…」と思っているような顔だ。
(おかんが手に持っているのは前のページに出てきた「作ったカツ丼」)
ここでもやはり、息子が真剣にリズムを刻もうとするが、なかなかスムーズにいかない。筆者がテンポを上げて読むと必死についてきて、「もう一回!」と躍起になって繰り返す。「うんち」ビートボックスの親子対決を展開するのは初めての体験で、なんとも楽しかった。
親子の時間にウキウキを投入する一冊
親子でリズムを刻み、どちらがもっとヒートアップできるかを競うウキウキな時間。「サイコーの おふざけ! いつだって もとめっ!」と盛り上げながら親子の距離を縮めてくれるDJうんちは、みんなのヒーローだ。この本を読む時は「うんちなんて…」という気持ちを封印し、子どもと同じ目線になって楽しんでしまうのがいちばん。SNSでは「読むと便通がよくなる絵本」としても話題なので、試してみるのもいいかもしれない。
後日、ひとりでも本を手に取っていた息子。読みながらブツブツ言っている…と思った
ら、文章を暗記しているようだ。夕飯のときに「僕覚えたよ、DJうんちの!」と言うので
聞いたら、2〜3日のうちに半分以上の文章を覚えたらしく、渾身のビートボックスを披露
してくれた。思ってもみない読書の効果にびっくり。とにかく語呂がいいので覚えやすか
ったのと、インパクト抜群の絵が言葉を思い出すときに役立ったそうだ。暗記力UPを期
待するママパパもぜひ!
文=吉田あき