
『高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで』(もつお/KADOKAWA)は、ある日生まれた自分の中の「神様」からの脅迫に苦しみ、精神科病院への入院を経験した著者・もつお氏が、少しずつ自分自身を取り戻していく過程を描いた実録コミックエッセイである。
事の始まりは高校1年生の時。毎日を忙しく過ごしていた著者は、周囲からどう見られているのかが気になっていき、少しずつその悩みや不安が大きくなっていく。そんな彼女の前に現れたのが、自分にだけ見える「神様」だった。最初は「触れ」「食べるな」といったことを言ってくるため、それに従えばなんとなくの安心は得られていた。しかしそれは命令となって日ごとに強くなっていく。
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やがて著者は、とにかく何かに触らずにはいられなくなり、家の中にいても外にいても関係なく、床や壁、店の商品などを触り続けるようになる。さらに「食べたら悪いことが起こる」という声にも苦しめられ、食べ物を前にしても自由に手を伸ばせなくなり体重が激減。自分でもおかしいと思っていてもやめることができず、さらに家族や友人にも本当のことを言えないまま、生活に支障をきたすようになっていく。
そしてついに精神科病院への入院を経験することになるが、苦しみはすぐには解決しなかった。入院生活、摂食障害、強迫性障害、家族とのすれ違い、退院後の揺り戻しと、「神様」とさよならするまでの道のりは一直線ではなかった。よくなったと思えば戻る日もあるし、回復できたと思ったら、また別の不安が顔を出すのである。
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それでも、もつお氏は自分を否定し続けるのではなく、少しずつ自身の気持ちを見つめ、本当にやりたいことを探していくのである。絶望の中にいた高校生の著者が、どうやって希望を見出し、掴んでいくのか。その歩みを追体験しながら、結末を見届けてほしい。
文=坪谷佳保
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