
2026年6月12日、東京・渋谷区の「代官山 蔦屋書店」で、ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんのトークイベントが開催された。今回のイベントは、2026年6月10日に発売された新作エッセイ『私が私を生きる「余白」の美学』(双葉社)の刊行を記念したもの。
未来さんは、光沢感のあるベージュのキャミソールワンピースで登場。ステージには、未来さんと公私ともに親交が深く、ファンのひとりでもあるモデルの松木育未さんも登壇。2人は時折、顔を見合いながら仲睦まじいトークを繰り広げた。
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■大怪我を乗り越えて新刊エッセイを発刊
2020年9月に発売された前作『私が私らしく生きる美学』(双葉社)は、異例のロングセラーに。約6年ぶりの新刊となった今作では、コスパ重視な時代の中で自分軸を大切にしながら生きるヒントが詰め込まれている。
実は今作の発売前、未来さんは貧血で意識を失って倒れ、顔面を骨折する大怪我を負い、話せない状態が1ヶ月半も続いた。だが、そんな状況も持ち前の強さで乗り切ったところが未来さんらしい。
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「ただでは転びたくない。何かを掴んで立ち上がりたいです(笑)。得るものがあれば、転んでよかったと思えるから。そうやって、何かを得ながら歳を重ねていきたいです」
前作は季節をテーマにして章が分けられていたが、今作では「強さ」「内省的な自分」「自由さ」「愛情や優しさ」という4つのテーマでチャプターが分けられている。タイトルに「余白」という言葉を用いたのは、編集部メンバーとの会話がきっかけだった。
「今作は前作と同じメンバーで制作しました。『私は何が変わった?』と尋ねたら、『余白ができた』という答えが返ってきたんです」
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当初はその返答を意外に感じたそうだが、書いたエッセイを見直すと「余白」という言葉を無意識に多用している自分に気づいた。
「余白の生み出し方は、愛猫から学びました(笑)たしかに今の私は、人との距離感や時間の使い方に余白が必要だと思っているな、と。大人になった証拠なのかもしれません」

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■人生は「実験と検証」 新しいことにチャレンジする時のマインドは?
未来さんのエッセイからは、日常生活での生じやすい悩みを解決するヒントも得られる。例えば、新しいことに挑む時、未来さんは実験だと思って取り組むのだという。
「たとえ思い描いていたような結果が出せなかったとしても、その過程で得られるものや気づけることはあるし、自分がどういう人間なのかも分かる。実験と検証を繰り返すような感覚なんです」
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そうしたしなやかな強さを持てているのは、両親からひとりの人間として大切に扱ってもらったことが大きく関係している。家族との関わりの中で「自分を信じてくれる人がいる」と思えたからこそ、自分を雑に扱わず、他人から雑に扱われることを許しもしない人間になれたと未来さんは話す。
「自分を大切にしていると、周りにもそういう人が集まってきてくれます。だから、ハプニングがあっても『自分なんて…』と自己卑下しない人間関係が築けています」
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■SNS時代に響く「他人の芝生は青いほうがいい」
SNSが盛んな今は、自分と画面越しの他者を比べて自己嫌悪に陥る人も多い。だが、未来さんは「隣の芝生は青いほうがいい」と語り、自分と他人を比較しない。
「自分も他人も、色んなことが複合されてできています。好きなものも得意なこともそれぞれ違うのに、比べるのは難しいと感じるんです」
誰かと自分を比較するよりも、常にハッピーな思考を持ちながら人と関わりたい。そんな未来さんの生き方は比較社会に疲れた現代人に刺さる。
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なお、イベントの終盤、未来さんは読者に温かいメッセージを送っていた。
「一生そばにいてくれる自分という人間を最強のバディだと思えたら、生きていくことが楽しくなる。“自分らしく”とか“自分を大切にする”という言葉は難しく思えるけれど、本作には私なりの解釈を詰め込んだので、『こんな小さなことも自分を大切にすることなんだ』と知ってもらえたら嬉しいです」
また本作には、エッセイのほかに初公開のショート小説「あさねの台所」も収録されている。以前、眠れない日が続いた時に、オーディブルで何度も聞いたことのある物語を聞くとよく眠れることに気づいたのだとか。「自分で聞きたいと思えるような、安心して眠れる穏やかな物語を作ってみようと思ったんです」と話してくれた。
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未来さんの感性が凝縮された本作は、心の状態によって響くチャプターが変わるところも面白い。未来さんがこだわったという句読点の位置や彼女らしい造語にも注目しながら本作を楽しみ、自分の人生に余白を生み出す方法を考えていきたい。
文=古川諭香、撮影=後藤利江

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