三島由紀夫賞(通称:三島賞)は、昭和を代表する文豪・三島由紀夫の業績を記念して1987年に創設された文学賞。新潮社が新しい才能を発掘すべく、芥川賞と同種のカテゴリーを要求して打ち出した賞として知られている。文学の新たな可能性を開拓する、先鋭的でみずみずしい感性を持った受賞作が並ぶことでも注目を集め続けている賞なのだ。本記事では、最新の受賞作品からさかのぼり、歴代三島由紀夫賞作品を一挙紹介!ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
第39回 はくしむるち/豊永浩平

はくしむるち
デビュー作『月ぬ走いや、馬ぬ走い』で群像新人文学賞と野間文芸新人賞をダブル受賞した大型新人が、圧倒的な筆力で描く衝撃の長篇第一作!
暴力が支配する世界に、「ヒーロー」は現れるのか? 戦争の傷が刻まれたこの島で、新しい地図を描くための「戦い」がはじまる。
きみは沖縄に生まれ育ち、ウルトラマンに憧れるオタクになった。小中学校とエスカレートする「いじめ」を生き抜いたきみは、この島を分断する「壁」に向かって、ある「計画」を実行していく――。
沖縄の今を生きる少年少女と、80年前の戦場を生きた少年兵たち。ともに白紙のような彼らを呑み込んでいく巨大で残酷な暴力に、どう立ち向かうのか?現代と戦中戦後の時空を交差させて描く、鮮烈な青春小説にして、新しい世界文学の誕生!
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第38回 橘の家/中西 智佐乃

橘の家
庭のその木は、人の生殖に力を与えるという。人類の業を抉る三島賞受賞作。
幼い頃に2階から落ちたが庭の橘の木のおかげで助かったことがある恵実。以来、木の力を恵実が媒介するという噂が流れ、子どもを望む人々が大勢家を訪れるようになった。自分にすがる彼らの気持ちに戸惑いながらも役割を果たす恵実だったが、そのことが自身や家族に暗い影を落とし――子孫繁栄という常識を揺さぶる問題作。
第37回 みどりいせき/大田ステファニー歓人
みどりいせき
このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作! ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く。第37回三島由紀夫賞、第47回すばる文学賞受賞作!
第36回 植物少女/朝比奈秋

植物少女
自身を産んだ際に植物状態になった母親へ会いに病室へ通う美桜。意思もなく、大人に成長していくなかで、次第に親子の関係性も変化していき─唯一無二の母と娘のありようを描く。第36回三島由紀夫賞受賞作。《解説・河野真太郎》
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第35回 ブロッコリー・レボリューション/岡田利規

ブロッコリー・レボリューション
近所にあるパン屋をめぐる彼の変化を私が描く「楽観的な方のケース」。突然の訪問者が繰り広げるラップに衝撃を受け、横浜の街に思いを巡らす「ショッピングモールで過ごせなかった休日」。人はいつだって誰かの思いや言葉、記憶の中の場所に思いをはせるものだ――。実存や不可能性を超越した、第35回三島由紀夫賞受賞の表題作を含む全5編の短編集。多和田葉子氏との特別対談も収録!
第34回 旅する練習/乗代雄介

旅する練習
第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞!
中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。
2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、
ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。
ロード・ノベルの傑作! 第164回芥川賞候補作。
第33回 かか/宇佐見りん

かか
うーちゃん、19歳。母(かか)を救うため、ある無謀な祈りを胸に熊野へ。第56回文藝賞、第33回三島賞受賞。世代を超えたベストセラー『推し、燃ゆ』著者のデビュー作。書下し短編「三十一日」収録。
第32回 いかれころ/三国美千子

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いかれころ
ほんま私は、いかれころや――。
新潮新人賞&三島由紀夫賞ダブル受賞のデビュー作!
昭和の終わり、南河内に暮らすとある一族の二十四歳の娘に縁談が持ち上がる。女性は二五までにと見合い結婚する者も多い時代。本人の考えを他所(よそ)に、結納金や世間体を巡り親戚中の思惑が忙(せわ)しくぶつかり合う。分家に暮らす四歳の菜々子はその喧噪をじっと見つめていた――。
「家」がもたらす奇妙なせめぎ合いを豊かに描き、新人らしからぬ圧倒的力量と選考委員が絶賛、三島由紀夫賞受賞作にして新潮新人賞W受賞のデビュー作。
第31回 無限の玄/古谷田奈月

無限の玄/風下の朱
ブルーグラスバンド「百弦」のリーダーにして一家の長である宮嶋玄は、家でひとり死んだにもかかわらず、なぜか毎日蘇っては死に続ける。その不条理な繰り返しに息子たちは苛まれていく――(「無限の玄」)。魂の健康を求めて野球部を作ろうとする侑希美さんの下に集った私たちは、しかし理想と現実の間で葛藤する――(「風下の朱」)。それぞれ三島賞受賞と芥川賞候補に輝く奇跡の中編集!
第30回 カブールの園/宮内 悠介

カブールの園
シリコンバレーで起業した30代後半、日系3世の女性レイ。
80年代アメリカの小学校時代に周囲から受けた壮絶ないじめの後遺症を今も抱えながら、黒人の同僚とコンビで自社製品のプレゼンに駆り出される日々を送る。
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精神安定剤を手放せないレイは、大仕事を前に休暇を命じられ、旅に出る。
日系1世の祖父母が戦中に入れられたマンザナー強制収容所、レイの母がひとり暮らすリトル・トーキョー。自らのルーツを歩いたレイは、目を背けていた本心・苦しみの源泉を知った。
複雑な形で差別の問題が日常にある3世の苦しみ、母親との関係。
日本とは、日本人とは、私とは何か――。
第29回 伯爵夫人/蓮實重彦

伯爵夫人
ばふりばふりとまわる回転扉の向こう、帝大受験を控えた二朗の前に現れた和装の女。「金玉潰し」の凄技で男を懲らしめるという妖艶な〈伯爵夫人〉が、二朗に授けた性と闘争の手ほどきとは。ボブヘアーの従妹・蓬子(よもぎこ)や魅惑的な女たちも従え、戦時下の帝都に虚実周到に張り巡らされた物語が蠢く。東大総長も務めた文芸批評の大家が80歳で突如発表し、読書界を騒然とさせた三島由紀夫賞受賞作。(解説・筒井康隆 黒田夏子 瀬川昌久)
第28回 私の恋人/上田岳弘

私の恋人
一人目は恐るべき正確さで世界の未来図を洞窟の壁に刻んだクロマニョン人。二人目は大戦中、収容所で絶命したユダヤ人。いずれも理想の女性を胸に描きつつ34年で終えた生を引き継いで、平成日本を生きる三人目の私、井上由祐は35歳を過ぎた今、美貌のキャロライン・ホプキンスに出会う。この女が愛おしい私の恋人なのだろうか。10万年の時空を超えて動き出す空前の恋物語。三島賞受賞作。
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第27回 自分を好きになる方法/本谷有希子

自分を好きになる方法
16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
第26回 しろいろの街の、その骨の体温の/村田沙耶香

しろいろの街の、その骨の体温の
クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。
第25回 私のいない高校/青木淳悟

私のいない高校
鬼才が放つあまりにも前衛すぎる学園小説。カナダからの留学生を受け入れた、とある高校での数ヶ月の出来事――。普通すぎるのに普通じゃない、物語という概念を徹底的に排除した、「主人公のいない小説」 (講談社文庫)
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第24回 こちらあみ子/今村夏子

こちらあみ子
あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。
第23回 クォンタム・ファミリーズ/東 浩紀
第22回 夏の水の半魚人/前田 司郎
第21回 切れた鎖/田中慎弥

切れた鎖
海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら……。因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「蛹」など、ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作!
第20回 1000の小説とバックベアード/佐藤友哉
第19回 LOVE/古川日出男
第18回 六〇〇〇度の愛/今村昌弘
第17回 ららら科學の子/矢作俊彦
第16回 阿修羅ガール/舞城王太郎

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阿修羅ガール
女子高生アイコ、魔界で恋に破れる。三島由紀夫賞受賞作!! +特別収録「川を泳いで渡る蛇」
アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。
第15回 にぎやかな湾に背負われた船/小野正嗣

にぎやかな湾に背負われた船
とある海辺の集落「浦」に、時が淀み、謎が漂う。教師と恋に落ちた少女、奇妙な昔語りにふける四人組の老人。半世紀あまりの脱線につぐ脱線の記憶と現在の物語…。筒井康隆氏から「少しほめ過ぎになるが、小生は『ガルシア=マルケス+中上健次』という感銘を得た」とも評された第15回三島由紀夫賞受賞の表題作に、第12回朝日新人文学賞受賞のデビュー作「水に埋もれる墓」を併録して文庫化。
第14回 ユリイカ EUREKA/青山真治
第14回 あらゆる場所に花束が……/中原昌也
第13回 目覚めよと人魚は歌う/星野智幸
第12回 ロックンロールミシン/鈴木清剛

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ロックンロールミシン
賢司は入社二年目の“リーマン”。仕事は順調、彼女もいるのに、なんだか冴えない毎日。そんな時、高校の同級生・凌一がインディーズブランドを旗揚げした。気の合う仲間と作りたいものを作る――そんないい加減なことでいいのかよ!? そのくせ、足は彼らの仕事場に向かい、曖昧な会社生活をリセット、本格的に手伝うようになるのだが……。ミシンのリズムで刻む8ビートの三島賞受賞作!
第12回 おぱらばん/堀江 敏幸

おぱらばん
とりすました石畳の都会から隔たった郊外の街に暮らす私。自らもマイノリティとして日を過ごす傍らで、想いは、時代に忘れられた文学への愛惜の情とゆるやかにむすびつきながら、自由にめぐる。ネイティブのフランス人が冷笑する中国移民の紋切型の言い回しを通じ、愛すべき卓球名人の肖像を描いた表題作をはじめ、15篇を収録した新しいエッセイ/純文学のかたち。三島賞受賞作。
第11回 カブキの日/小林恭二

カブキの日
出雲の阿国以来、四百余年の歴史を持つ歌舞伎は変革期にさしかかっていた。革新を目指すのか、保守として伝統を重んじるのか。
二つの勢力が拮抗する中、年に一度の「カブキの日」を迎えようとしていた。
狂言作者の祖父に育てられた少女・蕪は着飾った両親とともに、琵琶湖湖畔の歌舞伎小屋[世界座]へと船で繰り込む。三層に建てられたこの小屋は巨大な楽屋を持っていた。
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見学という名目で、美しい茶屋の若衆・月彦に案内されて、魔の迷宮とも言いえる楽屋に入り込む。その間に舞台の幕は上がる。そこには混沌か芸か、生か死かというせめぎ合いが演じられる。
歌舞伎の祖である阿国と名古屋山三郎の狂言を軸に、歌舞伎の生き残りをかけた闘いが壮大なスケールで語られる。
第10回 三絃の誘惑―近代日本精神史覚え書―/樋口覚
第9回 折口信夫論/松浦寿輝
第8回 緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道/山本昌代
第7回 二百回忌/笙野頼子
第6回 鹽壺の匙/車谷長吉
第6回 日本の家郷/福田 和也

日本の家郷
日本における家郷と彷徨者の関係を論じた小説論「日本の家郷」、安土桃山期を文学の一種の切断線を見る古典論「生成する日本」、日本のモダニズム運動の意味を問う批評論「虚妄としての日本」を収める、第6回三島由紀夫賞受賞の文芸評論の傑作。
第5回 受賞作なし
第4回 ア・ルース・ボーイ/佐伯一麦

ア・ルース・ボーイ
生きる意味を探す元エリート少年の青春小説。
性悪な英語教師をブン殴って県下有数の名門進学校・I高を中退した17歳の斎木鮮は、中学時代の恋人だった幹とアパートで一緒に暮らし始める。幹もまた父親の分からない子を産んだばかりで女子高を退学していた。
さまざまな世間の不条理に翻弄されながらも肉体労働での達成感や人間関係の充足を得て徐々に人として成長していく鮮――。
幼少期に性的悪戯を受けた暗い過去や、母親との不和による傷に苦しみながらも鮮は一歩ずつ前へと歩みを進めるのだった。第4回三島由紀夫賞受賞作品で、解説を文芸評論家の池上冬樹氏が特別寄稿。
第3回 世紀末鯨鯢記/久間十義
第2回 黄昏のストーム・シーディング/大岡玲
第1回 優雅で感傷的な日本野球/高橋源一郎

優雅で感傷的な日本野球
一九八五年、阪神タイガースは本当に優勝したのだろうか――イチローも松井もいなかったあの時代、言葉と意味の彼方に新しいリリシズムの世界を切りひらいた第一回三島由紀夫賞受賞作が新装版で今甦る。
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